オーストラリアとシンガポール、ペーパーレス化に向けた試行運用を開始

(オーストラリア、シンガポール)

アジア大洋州課

2020年12月04日

オーストラリア国境警備隊(ABF)は11月25日、オーストラリアとシンガポールの2国間デジタル経済協定(注1)に沿って、貿易手続きを簡素化・ペーパーレス化するためのデジタル認証プラットフォームを開発していることを発表した。

同プラットフォームは、政府間の文書交換用に、国連貿易円滑化電子ビジネスセンターがブロックチェーン技術(注2)を活用して開発したシステム。ABFは、シンガポール税関とシンガポール情報通信開発庁(IMDA)とともに、11月23日から同プラットフォームの試験運用を開始した。

このプラットフォームは、オーストラリア側のABFが開発した政府間台帳(IGL)(参加している政府間で書類を電子的に共有するシステム)と、シンガポール側のIMDAによるTradeTrust(政府と企業をつなぎ、電子的に貿易書類の交換を行うシステム)を連携させたもの。管理コスト削減と貿易の効率化を目的に、オーストラリア商工会議所、オーストラリア産業団体、およびシンガポールの金融機関などと規制当局が、これら2つのシステムで原産地証明書を認証し、その結果を今後評価していく。

ABFのマイケル・アウトラム局長は、この両国による取り組みを歓迎した上で、「(今回試験運用を開始した)ペーパーレス貿易と、貿易情報を安全に電子的に交換する仕組みを、将来的にオーストラリア貿易シングルウィンドウ(単一窓口)(注3)の仕様や設計の一部として組み込んでいく」と述べた。

この試験運用は、オーストラリア政府が最近発表した貿易要件の手順を改革し、貿易のデジタル化を推進していくとする政策に基づいたものだ。

(注1)デジタル貿易の促進とともに、フィンテックや人工知能(AI)などのデジタル分野の協力を推進する協定(2020年3月30日記事参照)。

(注2)大量の電子データを、暗号技術により偽造や改ざんが困難なかたちでつなげていくことで、データの分散共有を効率的に行う技術。

(注3)貿易関連の情報や文書を単一の窓口に1回だけ提出すれば、輸出入と港湾関連手続に関する規制上の要件全てを満たすことができるような制度。

(坂本未侑)

(オーストラリア、シンガポール)

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