新型コロナ対策で休職手当を再導入

(タイ)

バンコク発

2020年12月28日

タイ政府は12月22日の閣議で、新型コロナウイルスの影響を受けて一時的に職を失った従業員に対する休職手当の支給を承認した。従業員が社会保険に加入し、受給資格を満たしていることが条件。ただし、申請期間や手続きなどの詳細については、今後公表される布告を待つ必要がある。

同措置の対象となるのは、新型コロナウイルスによる影響を受け、従業員が就労できない、または雇用主が通常どおりの事業運営ができない場合など、社会保険法79条1項の「不可避の事由」があるケース。閣議決定では具体例として、新型コロナウイルス感染防止のため、政府機関による事業所閉鎖命令を受けた場合などを挙げている。この場合、従業員は日当の50%を最長90日間にわたり、失業手当として受け取る権利を有する。

タイ政府は2020年4月にも「不可避の事由により休業した場合の手当にかかる労働省令」を官報に掲載し、社会保険加入者に休職手当を給付していたが、8月で終了していた(2020年4月22日記事参照)。この前回の措置では、(1)政府命令による事務所閉鎖、(2)新型コロナウイルスに感染した、または感染した疑いがあり、隔離措置を受けているため就労できない場合、または(3)雇用主が仕事をさせず、従業員が給与を受け取れない場合の3つのケースが不可避の事由に該当し、従業員が休職手当を申請可能としていた。今回再導入される休職手当にも前回同様の条件が課されるとの報道(「タイラット」紙12月22日)もあるが、具体的には布告の公表を待つ必要がある。

今回の休職手当の再支給の背景には、12月20日前後にバンコク都の南西に隣接するサムットサコーン県の中央水産市場で、新型コロナウイルスの大規模なクラスターが発生し、同県と周辺地域で合計700人弱の感染者が確認されたことがある。クラスターの発生により、雇用主が一時的に事業所を閉鎖せざるを得ない状況に陥ることを見据えた措置となる。

(田口裕介、今泉美里)

(タイ)

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