労働省、新型コロナウイルスによる休職・失業手当にかかる省令を公表

(タイ)

バンコク発

2020年04月22日

タイ労働省は4月17日、新型コロナウイルスの影響を受けた従業員の手当に係る二つの省令を官報に掲載し、即日発効した。これらにより、1.失業手当を支給する条件となっていた「不可避の事由」に、新型コロナウイルスによる影響が加わったこと、2.係る影響の範囲として、政府の命令による事務所閉鎖やウイルスへの感染・感染疑義のための休業、雇用者による自主休業を対象とすること、3.失業者に対する手当につき、「経済変動により失業した場合」における手当の割合および期間を引き上げること、の3点が大きく変更された。それぞれのポイントは以下の通り。

4月17日付 不可避の事由により休業した場合の手当にかかる労働省令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

新型コロナウイルスの影響を受け、一時的に職を失った(休職した)従業員が、社会保険に加入している場合、以下のとおり休職手当を申請できる。

  • 新型コロナウイルスによる影響(政府の命令による事務所閉鎖、新型コロナウイルスに感染・感染の疑いがあり隔離措置を受けているため仕事ができない、または雇用主が仕事をさせず、給与を受け取れない場合)を社会保険法79条にて失業手当の対象としている、「不可避の事由」(注1)に含める。
  • 2020年3月1日~8月31日、または大臣が定めた期間に上述の「不可避の事由」が発生し、給与を受け取れない場合、当該被雇用者は、日当の62%を最長90日間、休職手当として受け取る権利を有する(注2)。
  • 被雇用者が退職、解雇された場合は、休職手当の対象外となる。
  • 休職手当を申請する場合、省令で定められた証明書を提出すること(注3)。

4月17日付 経済変動により失業した場合の手当にかかる労働省令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

  • 2020年3月1日~2022年2月28日の間、経済変動が原因で失業した場合、被保険者は、本省令で定める失業手当を受け取る権利を有する。
  • 上記に該当し、かつ解雇により失業した場合、失業手当として、日当の70%を最長200日間受け取る権利を有する(該当しない場合は従来どおり、日当の50%を最長180日間支給)。ただし、1年(1月~12月)の間に1回以上手当を申請する場合、給付は計200日間を超えないものとする。
  • 上記に該当し、雇用契約の終了、または退職により失業した場合、失業手当として、日当の45%を最長90日間受け取る権利を有する(該当しない場合は従来どおり、日当の30%を最長90日間支給)。ただし、1年(1月~12月)の間に1回以上手当を申請する場合、給付は計90日間を超えないものとする。
  • 本省令の発表前に、被保険者が既に失業し、手当を申請していた場合、残存する給付の受け取り日数分について、本省令で定める割合と期間の下、手当を受け取る権利を有する。

(注1)タイ政府は3月24日、閣議で「不可避の事由」に「新型コロナウイルスによる影響」を含める旨、承認。

(注2)日当の支給額は、社会保険法で規定される月額給与(最低賃金~1万5,000バーツ)を基に計算。

(注3)証明書は、雇用者が、当該従業員(被保険者)が休職している旨を証明するもの。フォーマットは、4月17日付省令の3枚目参照。証明書に虚偽の内容を記入した場合は詐欺罪、または公務員への虚偽報告に該当する可能性あり。

(田口裕介、今泉美里)

(タイ)

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