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アルゼンチンの貧困率は44.2%、さらなる悪化を懸念

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年12月14日

アルゼンチン・カトリック大学の社会負債調査研究所(ODSA)が12月3日に公表した調査結果によると、2020年7~10月のアルゼンチンの貧困層が人口全体の44.2%(前年同期:40.8%で3.4ポイント増)、うち極貧層は10.1%(8.9%で1.2ポイント増)となった(添付資料図参照)。同時に、失業率は14.2%(10.6%で3.6ポイント増)に悪化したことを明らかにした。

貧困層は、基礎的食料と住宅、保健、教育、衣類その他の日常的な基礎的支出(基礎的全体バスケット)を十分に賄う収入がない層を指す。極貧層は、基礎的食料バスケットを賄う収入がない層を指す。国家統計・センサス局(INDEC)の分類を用いており、2020年11月時点(ブエノスアイレス首都圏)の4人世帯の基礎的全体バスケットは4万9,912ペソ(約6万4,886円、1ペソ=約1.3円)、基礎的食料バスケットは2万710ペソとなっている。

ODSAは2001年に創設され、2004年から人間開発および社会的統合に係る不足や欠如の指数についてアンケート調査を行っている。同調査は、国内の人口8万人以上の主要都市において約5,700世帯を対象に、各世帯の収入だけでなく、食料、医療、水道サービスやその他生活の質につながる基礎的サービス、住宅、教育、雇用と社会保障といった社会的必需項目へのアクセス状況などについて調査している。

なお、INDECが実施する世帯アンケート調査(EPH)(2020年10月5日記事参照)でも貧困率を公表しているが、ODSAは、EPHとは異なるサンプルを対象としているため、EPHとは結果が多少異なると説明している。

今回のODSAの調査によると、アルゼンチン総人口の44.2%に当たる約2,030万人が貧困に陥っている。そのうち、0~17歳の若年層のうち、貧困層は64.1%(前年同期:59.5%から4.6ポイント増)、極貧層は16.0%(14.8%から1.2ポイント増)に達したとしている。

生活必需品・サービスの欠如については、総人口の32.5%が基礎的な食料、医薬品および医療サービスにありつけていないとしている。水道、光熱などの基礎的サービスは、総人口の34.1%に不足がみられ、特に11.8%は水道、33.3%は下水設備を有していないと判明。住宅は24.2%、教育へのアクセスは13.5%、雇用と社会保障は35.2%が問題を抱えているとする。

同調査によれば、景気低迷が続く中、新型コロナウイルス感染拡大の影響も受け、政府が打ち出しているさまざまな補助金制度〔特に、2009年から存在する児童手当(AUH)、現アルベルト・フェルナンデス政権が打ち出した6歳未満の子供や妊婦がいる貧困世帯向け「空腹対策のための食料カード(Alimentar)」の支援、「新型コロナ禍」により打ち出された「緊急家庭収入(IFE)」の支援、高齢者手当など〕が存在しなければ、貧困層は44.2%ではなく53.1%に悪化していたと予測する。

他方、失業率については、現在求職を行っていない場合は失業者とはみなされないため14.2%にとどまったとみられる。求職を行っていない、または求職意欲のない人口を含むと、実際の失業率は28.5%に達する。今回の調査では、貧困および所得格差の拡大が浮き彫りになっただけでなく、新型コロナウイルス感染症の影響が加わり、将来的に貧困のさらなる悪化が懸念される。

写真 社会的保護を必要とする貧困層が目立つブエノスアイレス市内の街角(ジェトロ撮影)

社会的保護を必要とする貧困層が目立つブエノスアイレス市内の街角(ジェトロ撮影)

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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