経済省、自動車産業支援プログラムの要点公表

(ドイツ)

ミュンヘン発

2020年12月01日

ドイツ経済・エネルギー省(BMWi)は11月19日、連立与党の経済対策に含まれていた自動車産業支援のための「未来投資プログラム」に関する要点外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。BMWiはこの要点を基に2021年の早期実施を目指して、具体的な助成スキームをさらに検討していく。

経済対策は、連立政権を組むキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)が6月に、新型コロナウイルス対策として合意したもの(2020年6月10日記事参照)。具体的には、(1)自動車産業の新技術・設備投資、(2)産業転換に重要なイノベーションのための研究開発、(3)特に部品産業を中心とする地域の産業集積の3つを柱として、2020年と2021年の2年間で20億ユーロを支援するとしていた。11月17日開催の「協同アクション・モビリティー」第4回会議(2020年11月25日記事参照)では、「未来投資プログラム」を遅滞なく具体化するとしており、今回の要点発表はこの流れを受けたものだ。

BMWiは「未来投資プログラム」で、特に自動車産業の構造転換に直面する中小企業を支援するとした。ペーター・アルトマイヤー経済・エネルギー相も「今回の20億ユーロで、特に部品メーカーなどの中小企業が移行プロセスを成功裏に実現することを支援する」とコメントしている。もう1点強調したのは地域の産業集積支援だ。企業が集積するクラスターを集中的に支援、特に地域の中小企業に対して問題解決のためのコンサルティングや助成スキーム申請支援、従業員教育などを進め、これら中小企業が構造転換の波に乗り遅れないようにすることを目指す。

BMWiが発表した「未来投資プログラム」の要点によると、上述の(1)と(2)については、企業が設備投資、研究開発などを行う際の一部助成、プロジェクトへの助成が主なものになっている。大企業と中小企業では助成率が異なり、助成額上限も定める見込みだ。(3)では、企業自ら共通課題を解決すべく組成したクラスター、または地域の組織が企業のために組成したクラスターに対して、助成を行う。

助成スキームは新設に限らず、既存の助成スキームと連動させるかたちもあるという。特に、研究開発は既存スキームの活用や統合がなされる見込み。また、従来の大学や研究機関から産業界への知識移転に限らず、クラスター内、プロジェクト内での企業同士の知見や情報、経験の共有がカギになるとしている。また、BMWiは自動車産業の構造転換に寄り添うべく、実施期間は2021年までではなく2024年までが適当としている。

(高塚一)

(ドイツ)

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