ASEAN域内での医薬品流通の円滑化で合意

(ASEAN)

ジャカルタ発

2020年11月13日

ASEAN首脳会議に先立ち、11月10日にオンライン形式で第19回ASEAN経済共同体理事会(AECカウンシル)が開催された。同会合でASEAN経済閣僚らは、「新型コロナ禍」で傷ついた経済回復策などを議論した。主要な成果として、医薬品など新型コロナウイルス対策に欠かせない必需品に対する非関税措置(NTM)に関する覚書(MOU)を締結し、域内での円滑な流通を目指すことで合意した。

ASEAN首脳会議および関連会合は、オンラインとオフラインを組み合わるかたちで、11月10日から15日までの日程でベトナムの首都ハノイで開催されている。10日に開催されたAECカウンシルでは、冒頭のMOU締結のほか、原産地自己証明制度(ASEAN-Wide Self Certification:AWSC)(2020年9月16日記事参照)など域内経済統合を目指した活動報告書(AECカウンシルレポート)の承認、「AECブループリント2025PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(注1)の進捗確認、「新型コロナ禍」で傷ついた経済などの回復プランをまとめた「ASEAN包括的リカバリーフレームワーク(ACRF)」(注2)の承認などが行われた。なお、AECカウンシルレポートとACRFは12日開催のASEAN首脳会議に提出された。

MOUは152品目の医薬品が対象

11月11日付の「ジャカルタ・ポスト」によると、インドネシア商業省幹部の話として、同MOUは医薬品を対象とし、「ASEAN内での交渉の結果、食料品は除き、152品目の医薬品に対するNTMを削減することが目的」とする。一方、ベトナム商工省のルオン・ホアン・タイ多国間貿易局長によると、今後は食料品を含め品目の追加を検討していくという(ASEAN特設ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますより)。

(注1)ASEANは2015 年、2025年を目標年次とするASEAN経済共同体2025(AEC2025)創設を目指すとした。AECブループリント2025は、AEC2025実現のためのマスタープラン。概要はジェトロウェブサイトPDFファイル(170KB)参照。

(注2)ASEAN調整委員会(ACC)を中心に作成され、ヘルスケアシステムの改善、住民の強靭(きょうじん)性(レジリエンス)強化、ASEAN市場のポテンシャル最大化、デジタル化の推進、などを柱とする。

(上野渉)

(ASEAN)

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