下院での弾劾決議案の可決受け、内相が交代

(チリ)

サンティアゴ発

2020年11月06日

チリのビクトル・ペレス内相は11月3日、自身に対する弾劾決議案が下院で可決された(賛成80票、反対74票、棄権1票)ことを受け、就任後わずか99日で内相を辞任した。ペレス氏に対する最終的な処遇は、同決議案が上院でも審議された後に決定するが、ペレス氏は自らへの弾劾手続きによって政権の正常な運営に支障が生じることを懸念し、辞任を決意したとコメントしている。

ペレス氏に対する弾劾決議案は、野党議員らが内相としての職務を適切に履行できなかったことを理由に発議したもので、トラック運転手らの労働組合によるストライキに対する一連の対応や、10月上旬の警察とデモ隊の衝突時の不祥事(2020年10月21日記事参照)などが糾弾の対象となっている。

直近では、2019年12月に上下両院で承認され、元内相のアンドレス・チャドウィック氏に対して5年間公職に就く資格を剥奪する措置が取られた前例があるものの、現職の内相に対する弾劾決議案が否決されずに下院を通過したのは、民政移行後30年の歴史の中で初めてのケースとなる。(「エル・メルクリオ」紙11月4日)。

セバスティアン・ピニェラ大統領はペレス氏に対する弾劾に強い反発の意を示しており、「弾劾決議案が上院の良識の下に否決されると確信している」とコメントした。なお、翌4日には、ペレス氏と同じく独立民主同盟党(UDI)に所属し、直前までサンティアゴ市内のエスタシオン・セントラルの区長を務めていたロドリゴ・デルガド氏が新内相に任命されている。

(岡戸美澪)

(チリ)

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