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買収規制法案を議会に提出、17分野で政府の介入権限を強化

(英国)

ロンドン発

2020年11月16日

英国政府は11月11日、国家安全保障上重要な分野の英国企業に対する買収規制を強化する新法「国家安全保障・投資法案〔National Security and Investment(NS&I)〕Bill」を議会へ提出した。これにより、政府は該当する企業買収を審査、介入する権限を拡大することとなる。

法案は国家安全保障上の懸念が生じやすい17の主要分野(注1)での特定の取引を対象とし、各分野の定義の詳細は2021年1月6日までの意見公募を経て確定する。これらの分野の英国企業の買収を意図する企業や投資家は政府に対し、買収に関するできる限り多くの情報を正式に通知し、許可を得ることが義務付けられる。また、これらの分野以外でも、国家安全保障に関わる可能性がある場合は、政府へ通知することが推奨される。

現行の買収規制では、被買収企業の売上高や英国市場シェアが特定水準を上回る案件のみ事前通知の対象となっているが(2020年6月26日記事参照)、法案では売上高や市場シェアにかかわらず該当分野において15%以上の株式または議決権を取得した案件が対象となるため、非常に広範囲に及ぶ。法案に関連する影響評価によると、これにより年間1,000~1,830件の通知が行われ、うち70~95件が詳細な審査の対象になると見込まれている。

政府による審査期間は最大30営業日となっているが、必要に応じて45営業日延長することができ、さらに時間が必要な場合は再延長する可能性もある。安全保障上のリスクがあると判断された場合は、政府が取引を阻止または一部制限する可能性がある。

違反に対する制裁は厳しく、承認を得ずに通知が必要な取引を完了した場合、世界売上高の5%または1,000万ポンド(約13億8,000万円、1ポンド=約138円)のいずれか大きい金額を上限とする罰金と、関与した当事者に対する5年以下の懲役の、いずれかまたは両方が科せられ、買収は無効になる。

国家安全保障上重要な分野の買収規制を大幅に強化する一方で、政府は11月9日、海外から英国への投資を促進するための新組織「投資局(Office for Investment)」を設立(2020年11月16日記事参照)。温室効果ガス(GHG)の純排出ゼロ(注2)の達成、インフラ投資、研究開発の推進など、政策的に優先される分野では外国投資の誘致を強化する考えだ。

(注1)先端素材、先進ロボット工学、人工知能、民生用原子力、通信、コンピュータハードウエア、政府への重要なサプライヤー、危機管理に関する重要なサプライヤー、暗号認証、データ・インフラストラクチャー、防衛、エネルギー、生物工学、軍民併用技術、量子技術、衛星および宇宙技術、輸送の17分野。

(注2)人間の活動によって排出される温室効果ガス(GHG)の量を、森林などで吸収されるレベルにまで抑えること。

(宮口祐貴)

(英国)

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