次期5カ年規画と長期ビジョンの建議と説明を公表、2035年までの新目標にも言及

(中国)

北京発

2020年11月18日

中国共産党第19期中央委員会第5回全体会議(五中全会、10月26~29日)で採択された「第14次5カ年規画(2021~2025年、以下14・5規画)および2035年までの長期目標の制定に関する建議外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(以下、「建議」)の全文と、習近平総書記(国家主席)による建議の説明(以下、「説明」)が11月3日に公表された(注1)。

小康社会の全面的建設達成について2021年前半に評価と総括を実施

「建議」では、第13次5カ年規画(13・5規画)期間に小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的建設で決定的な成果を収めたと総括した。具体的には、経済力、科学技術力、総合国力の向上、経済運営の全体的な安定、経済構造の高度化、2020年のGDP総額が100兆元(約1,600兆円、1元=約16円)に達する見込みであることなどに言及した。

また、貧困脱却や食糧生産の安定、生態環境改善、人民の生活レベル向上などを挙げ、13・5規画で定めた目標と小康社会の全面的建設の確実な達成、第1の100年奮闘目標(注2)の実現、社会主義現代化国家建設のスタートに向けて堅実な基礎を打ち固めたと自己評価した。なお、説明によると、小康社会の全面的建設の最終的な評価と総括については、2021年上半期に党中央が実施するという。

2035年までに経済規模や1人当たり平均所得を2倍にする新目標に言及

14・5規画について「建議」では、中国が小康社会を全面的に建設し、第1の100年奮闘目標を達成した後、社会主義現代化国家建設の道に踏み出し、第2の100年奮闘目標に向かっていく最初の5年間となると位置づけた。

「説明」では、14・5規画の経済成長率目標や2035年までに経済規模や1人当たり平均所得を2倍にするという目標を「建議」に明記すべきという提案もあったことを明らかにした。その上で、そのような定量目標を設定しても達成できる可能性は高いが、新型コロナウイルスの世界的流行や世界経済の低迷が続く可能性があることなど外部環境の不確実性が大きく、また、長期目標では取り組みの重点を発展の質と効果の向上に置くという観点から、今回の「建議」は定性的な表現にとどめ、定量目標は今後14・5規画の綱要を策定する際に提示するとした(注3)。

(注1)五中全会の概要については、2020年11月6日記事を参照。

(注2)第1の100年奮闘目標は、中国共産党創立100周年に当たる2021年までに「小康社会」を全面的に完成させるもので、第2の100年奮闘目標は中華人民共和国成立100周年に当たる2049年までに「社会主義現代化国家」を建設するというもの。

(注3)前回第18期の五中全会後に公表された習国家主席の「説明」で、2020年にGDPと1人当たり所得を2010年比で倍増することを確実にするため、2016~2020年は少なくとも年6.5%以上の成長が必要と示していた。

(小宮昇平)

(中国)

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