10月のインフレ率は前月比3.8%、2019年11月以来の高い上昇率

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年11月19日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は11月12日、10月のインフレ率〔消費者物価指数(CPI)上昇率〕を発表した。単月(前月比)で3.8%、年率(前年同月比)で37.2%だった(添付資料図参照)。単月のインフレ率としては、2019年11月に4.3%を記録して以降、最も高い上昇率となった。年率でみても、2019年12月以降で初めて上昇に転じた。

10月単月のインフレ率については、INDECによると、季節によって価格が大きく変動する品目の上昇率は9.6%、価格統制された公共サービス料金(2020年6月29日記事参照)、携帯電話や教育関連サービスなどが1.5%、季節によって価格が大きく変動する品目を除いたコアインフレ率は3.5%となった。

費目別にみると、単月で最も高い上昇率を記録したのは衣類・靴類の6.2%で、次いで食品・飲料(酒類を除く)の4.8%だった。特に野菜、芋類、豆類、油脂類の価格が上昇した(添付資料表参照)。10月までのインフレ率の累計は26.9%に達しており、民間エコノミストによると、2020年通年では35.8%に達すると見込まれている(2020年11月13日記事参照)。

11月も、インフレ率が上昇する可能性が指摘されている。その要因の1つが、政府が2020年3月に導入した「プレシオス・マクシモス制度」(注)の見直しだ。同制度は、2021年1月31日まで継続されているが、2020年11月12日に生産開発省商業庁決議552/2020号が官報公示され、食料品など50カテゴリーとワイン43品が同制度から除外された。商業省は、生活への影響が小さく供給が豊富な品目を除外した、としている。

11月13日付のオンライン紙「iプロフェッショナル」によると、食品製造業者は早速、プレシオス・マクシモス制度の除外品目の値上げをスーパーマーケットや卸売業者に通知しており、チーズや粉乳など乳製品で6%、マテ茶で7%の値上げを実施したという。

(注)食料品をはじめとした生活必需品の価格を、3月6日時点の店頭価格に据え置く小売価格の統制制度。これまでに2度の値上げが認められた。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

ビジネス短信 cc4b886a192cd6b2