新たな経済政策「自立したインド3.0」を発表
(インド)
ニューデリー発
2020年11月17日
インド財務省は11月12日、「新型コロナウイルス禍」に見舞われてから第3弾となる経済対策「Atmanirbhar Bharat Package3.0」(注)を発表した。今回の施策は雇用対策や農家支援、ワクチン開発に係る研究開発センターへの支援など12項目。資本支出を含む総額は2兆6,508億ルピー(約3兆7,111億円、1ルピー=約1.4円)に上る。内容は以下のとおり。
- 雇用創出を加速させる新スキーム:従業員積立基金登録企業で新たに雇用された月給1万5,000ルピー以下の従業員と、月給1万5,000ルピー以下で「新型コロナ禍」で失職し、10月1日以降新たに雇用された従業員向けに、中央政府は2年間、従業員積立基金を政府が負担するかたちで補助金を支給する。
- 中小企業向けの緊急融資枠保証スキームを2021年3月31日まで延長
- 10の主要分野に総額1兆4,600億ルピーの生産連動型インセンティブスキームを導入
- 1,800億ルピーをPradhan Mantri Awas Yojana(都市部で手頃な価格の住宅を供給することを目的とし、2015年に開始された計画)に追加供給
- 政府入札に係る規制緩和を通じた建設・インフラ産業の支援
- 不動産開発者と住宅購入者への所得税控除
- 政府のインフラファンド向けに600億ルピーを出資
- 農家向けに6,500億ルピーの肥料補助金を支給
- 農村部での雇用促進のために1,000億ルピーを追加支出
- インド輸出入銀行への300億ルピーの資金供給を通じた輸出促進
- 国内の防衛機器、産業インフラ、グリーンエネルギー分野向けに1,020億ルピーの追加支出
- 新型コロナウイルスワクチン開発の研究開発センターへ90億ルピー(約126億円)を支出
インド財務省によると、3月に発表した貧困層向けの支援策(2020年3月27日記事参照)、5月の経済対策第1弾(2020年5月20日記事参照)、10月の第2弾(2020年10月21日記事参照)、インド準備銀行(中央銀行)からの支援策などを合わせると、現時点で政府が打ち出した対策の総額は29兆8,764億ルピーになり、この規模は、GDPの15%に当たるという。
これまでの経済対策の進捗状況と今回の第3弾経済政策の詳細、全経済対策の内訳などはインド財務省の発表に係るプレゼンテーション資料から確認することができる。
(注)Atmanirbhar Bharatはヒンディー語で「自立したインド」の意。
(磯崎静香)
(インド)
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