2021年予算法が成立、電子・電化製品の内国税引き上げへ

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年11月26日

アルゼンチン議会の下院は11月17日、2021年(暦年)の国家予算法案を可決し、法案は成立した。賛成139票、反対20票、棄権83票だった。法案は11月12日に上院が可決したが、手続き上の問題が発生して再び下院に戻っていた。予算案は9月15日に提出されていたもので(2020年9月28日記事参照)、ほぼ政府案どおりに成立した。

ただ、下院審議中に既存の租税の税率が引き上げられ、新たな公租公課も追加された。一部の電子・電化製品を対象に内国税〔奢侈(しゃし)税、Impuesto Interno〕の税率を2021年1月から2025年末まで引き上げるほか、オンラインカジノ税を2%から5%へ引き上げる。また、旅客輸送サービスを提供している車両を対象に、保険料の0.5%相当額を10年間にわたって徴収する新たな公租公課が導入された。

今回の予算法によると、国内最南端のフエゴ島特別関税地域で製造される携帯電話端末やテレビ、パソコン、エアコン、電子レンジなどの電子・電化製品に課す内国税を現行の0%から6.55%とする。これら製品が輸入品の場合、現行の7%から17%に引き上げる。2017年当時はこれら製品への内国税の課税を2024年までに段階的に撤廃する計画だった。今回の税率引き上げの目的は税収の増加と国内生産を支援するため。

11月22日付の現地紙「インフォバエ」によると、通貨ペソの対ドルレート下落で、電子製品の価格は大幅に高騰し、販売が減少した。同紙は、内国税率の引き上げによって「さらに値上げされる可能性がある」と警鐘を鳴らす。また、同紙のインタビューに応じたアルゼンチン電子端末製造協会(AFARTE)は「景気低迷によって需要も下がる中、さらに値上げする余地はなく、利益を諦めざるを得ない」と述べている。

写真 ブエノスアイレス市内のデパートの数少ないパソコン売り場(ジェトロ撮影)

ブエノスアイレス市内のデパートの数少ないパソコン売り場(ジェトロ撮影)

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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