チェコ、非常事態宣言を11月20日まで延長

(チェコ)

プラハ発

2020年11月04日

チェコ下院は10月30日、新型コロナウイルス感染状況の悪化に伴い10月5日に発動した非常事態宣言(2020年10月2日記事参照)の延長を可決した。延長期間に関しては、内閣は11月3日から30日間を提議していたが、野党の支持を得ることができず、最終的には17日間の延長となった。これに基づき、内閣は同日、非常事態宣言の11月20日までの延長を宣言した。

これにより、移動制限、営業制限などを定めた政府の緊急措置も、全て11月20日まで延長された(2020年10月23日記事2020年10月28日記事参照)。ただし、集会制限に関してはこれを強化し、集会の自由に基づき行われるデモなど(20人ずつのグループに分かれ計100人まで参加可能、各グループは他のグループと最低2メートルの間隔を保つ)の開催場所を屋外のみに制限した。

内閣はさらに新たな政令を発布し、国内各州知事とプラハ市長に対して11月9日以降、入院を必要としない感染者でかつ介護施設居住者など隔離が不可能な人を対象とした自主隔離用ベッドを、人口55万人当たり80床の割合で準備することを義務付けた。

欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、11月1日時点でのチェコの過去14日間における人口10万人当たりの新規感染者数は1,561.3人で、欧州域内ではベルギーの1,702.1人に次いで多い。ただし過去14日間の新規感染者数を絶対数でみると、10月27日に1万5,663人で過去最多を記録したものの、その後は前週の同じ曜日の数字をやや下回った(添付資料図参照)。

さらにチェコでは、10月29日に保健相が再び交代した。9月21日に就任した疫学者ロマン・プリムラ前保健相は、営業制限規則に反して、会合場所とされたレストランから、マスクを着用せずに出てきたところを報道されたことを受け、辞任を余儀なくされた。代わって新保健相に就任したヤン・ブラトニー氏は、小児血液学を専門とする現役の医師だ。30日の閣議後の記者会見で、ブラトニー保健相は「現状がいくらかポジティブな傾向にあるとはいえ、楽観視はできない。決して『新型コロナ禍』を克服したわけではない」と強調、非常事態が再度延長される可能性も十分にありうると述べた。

(中川圭子)

(チェコ)

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