チェコ政府、2度目のロックダウン発令

(チェコ)

プラハ発

2020年10月23日

チェコ国内では、非常事態宣言の発動とこれに伴う緊急措置(2020年10月12日記事2020年10月15日記事参照)を導入、強化したにもかかわらず、依然として新型コロナウイルス感染状況が悪化している。10月21日には1日当たりの新規感染者数が前日の最高記録を更新して1万4,968人に達した。入院患者数も21日に前日から360人増加し、4,777人に達した。保健省によると、国内病床数は現在進めている病床増加を踏まえた上でも1万5,500床が限界とされている。現在1.4の再生産数がこのまま持続すれば、11月9日には病床占有率が100%に達すると同省は予測している。

そのため、政府は10月21日、緊急措置の大幅な強化を決定し、翌22日午前6時から非常事態有効期限の11月3日までの期間、以下の移動制限と小売り・サービス店の営業制限を発令した。

(1)移動制限

以下の場合など例外を除き、人の自由な移動を制限する。

  • 通勤、勤務遂行
  • 食料品、医薬品購入など生活必需品の確保
  • 医療機関、社会福祉施設などへの移動
  • 公園、野外への移動と滞在

(2)営業制限

以下の例外を除き、小売り・サービスの営業を禁止する。

  • 食品、燃料、医薬品、衛生用品、新聞、家庭用品、車両、製造設備の部品などの小売り販売業
  • 車両・家電などの修理、ネット販売品の受け渡し、不動産業などのサービス業
  • 出張、その他業務従事者、就労許可を持つ外国人を対象とするホテル業
  • 医療機関の病床数を確保する目的で公共機関が自主隔離のための滞在先として委託したホテル業
  • 午後8時までの飲食店のテークアウト

集会人数に関しては、公共の場で他人と集まる人数の制限がこれまでの6人から2人までに限定された。

マスク着用義務については10月21日から、それまで公共交通機関内を含む屋内公共場所(職場を除く)に限定していた適用場所が、自動車内および屋外(同一世帯以外の者と2メートル以上の距離が確保できない場合)にも拡大した。

営業制限に対する支援策としては、内閣は既に賃金補助プログラムの一部延長(2020年10月19日記事参照)をはじめ、一連の補助金プログラムを可決している。このうち賃貸料支援策については21日、対象をそれまでの飲食店、文化施設などに加えて、今回の営業禁止令により影響を受けた小売業者にも拡大することを即日決定した。適用者に対して7~9月の家賃の50%を国が負担する。

写真 閑散としたプラハ市内のショッピングモール(ジェトロ撮影)

閑散としたプラハ市内のショッピングモール(ジェトロ撮影)

写真 プラハ市内繁華街の小売店も一斉閉鎖に(ジェトロ撮影)

プラハ市内繁華街の小売店も一斉閉鎖に(ジェトロ撮影)

(木村玲子、中川圭子)

(チェコ)

ビジネス短信 d7a086ed5b98e170