燃料電池自動車のモデル都市申し込みに関する動きが活発に

(中国)

上海発

2020年11月05日

中国における燃料電池自動車(FCV)への財政補助に関しては、購入補助金から産業サプライチェーン構築の奨励に軸足が移されている。9月21日に発表された「燃料電池自動車モデル都市申し込みに関する通知」(以下、通知)では、11月15日までに、各省市が中央の関連部門に対してモデル都市を申請することとなっている(2020年9月24日記事参照)。モデル都市を申請する際には、主導都市とその他の都市による協力協議の締結が必要だ。

中国各都市では、モデル都市申請に向けた動きが盛んになっている。現地紙によれば、長江デルタ地域では、浙江省の嘉興市、江蘇省の蘇州市が主導都市として、上海市は単独で、モデル都市に申し込むことが決定した。京津冀地域では、北京市が主導都市として確定したほか、天津市、張家口市、保定市なども申し込む姿勢をみせている。珠海デルタ地域では、仏山市、広州市などが主導都市としてモデル都市申請の可能性がある。このほか、山東省は済南市、四川省は成都市を主導都市にモデル都市申請を決めたとされている(「北極星氢能網」2020年11月2日)。

この中でも四川省については、9月21日発表した「四川省水素エネルギー産業発展計画(2021~2025年)」の中で、成都~重慶間を発展軸に水素エネルギー産業を発展させるとしており(2020年9月28日記事参照)、省市をまたいでモデル都市を申請する可能性がある。

ジェトロ成都事務所は10月30日に自動車工場等視察プログラムを実施し、発電設備製造大手の東方電気を訪問した。その際に、同社の水素部門担当者は「成都市はモデル都市へ申請を決定しており、東方電気もモデル都市におけるFCVや水素ステーション、そのほかコア部品の供給などに関して協力していく」と述べた。

写真 東方電気の外観(ジェトロ撮影)

東方電気の外観(ジェトロ撮影)

写真 東方電気のバス用FCVシステム(ジェトロ撮影)

東方電気のバス用FCVシステム(ジェトロ撮影)

(田中一誠、高橋大輔)

(中国)

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