2020年9月の失業率、EUとユーロ圏でともに横ばい

(EU、ユーロ圏)

ブリュッセル発

2020年11月04日

EU統計局(ユーロスタット)の10月30日の発表によると、2020年9月のEU27カ国全体とユーロ圏19カ国の失業率(季節調整済み)は前月から横ばいで、それぞれ7.5%、8.3%だった(添付資料表参照)。新型コロナウイルスに関連した制限措置が実施された3月以降、EUとユーロ圏の失業率は悪化が続いているが、いったん横ばい状態になった。失業者数は、前月比でEU全体では4万2,000人、ユーロ圏では7万5,000人の増加となった。

2020年9月の失業率を加盟国別にみると、チェコが2.8%と最も低く、スペインが16.5%と最も高かった(ただし、最新データが未発表のギリシャは2020年7月時点で16.8%)。失業率が前月から悪化した加盟国は、キプロス(0.6ポイント増)、フランス(0.4ポイント増)、アイルランド(0.2ポイント増)、リトアニア(0.2ポイント増)、ベルギー(0.1ポイント増)、オーストリア(0.1ポイント増)、フィンランド(0.1ポイント増)の7カ国にとどまった。他方、11の加盟国では前月から失業率が改善し、中でもラトビアとポルトガルではそれぞれ0.4ポイント低下した。

ユーロスタットによると、新型コロナウイルスに関連した制限措置を受けて、3月以降、引き続き失業手当の申請件数が急激に増加している(注)。

EU27カ国の9月の若年層の失業者数は、299万5,000人で、このうち245万1,000人がユーロ圏19カ国の失業者だった。若年層の失業者数の変化を前月比でみると、EU27カ国全体では9万7,000人、ユーロ圏では7万7,000人の減少になった。しかし、前年同月比では、EU27カ国全体で25万9,000人、ユーロ圏では20万2,000人の増加となっており、一部の若年層は、雇用市場が改善するまで積極的な求職活動を控えている可能性がある。

加盟国別にみると、スペイン(59万5,000人、若年層失業率:40.4%)、フランス(54万4,000人、19.6%)、イタリア(42万3,000人、29.7%)が引き続き大部分を占めた。ただ、スペインとイタリア、フランスでは、若年層失業率が前月からそれぞれ1.8ポイント、1.7ポイント、0.3ポイント改善した。

若年層失業率が最も低かったのはドイツ(6.0%)で、最も高かったのはスペインだった。

(注)「新型コロナ危機」がEU労働市場に及ぼした影響の詳細は、2020年第2四半期の「労働力調査(LFS)」も参照のこと(2020年10月14日記事参照)。

(大中登紀子)

(EU、ユーロ圏)

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