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欧州委、「新型コロナ危機」を受け、加盟国間の協力強化法案を発表

(EU)

ブリュッセル発

2020年11月13日

欧州委員会は11月10日、保健衛生分野のEUの取り組みを強化する保健衛生同盟の構築に向けた提案を発表した。国境を越えた保健衛生上の脅威に対応する規則案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、EUの専門機関である欧州医薬品庁(EMA)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)欧州疾病予防管理センター(ECDC)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の各強化法案と、関連する政策文書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)からなる。EUでは、新型コロナウイルスの感染拡大の初期において、加盟国が域内国境検査の再導入など一方的な措置を講じたことにより、物や人の自由な流れを保証するEUの単一市場に大きな混乱が生じるなど、EUレベルでの効果的な対策が取れなかった。そこで、欧州委は今回の法案により、欧州委と加盟国間の協力体制を向上させることで、現在も流行の続く新型コロナウイルスや将来の保健衛生上の危機への一致した対策を図りたい考えだ。

加盟国間の情報共有の向上など既存の制度の強化が中心

今回の法案の中心となるのは、加盟国間のより綿密な調整を図るためのメカニズムの強化策だ。欧州委は、保健衛生上の危機における加盟国や関連する専門機関との協力体制に関する取り決めや、疫学上の監視体制、早期警告対応システム(EWRS)などのEUレベルでの準備対応計画を策定する。また、ECDCは監理体制の強化のためにデジタルプラットフォームを構築し、加盟国はこのプラットフォームへの迅速な情報提供が求められる。現在運用している早期警告対応システムを拡充し、欧州委と加盟国の関係当局を常時連絡が可能な状態とし、保健衛生上の脅威の発生時には、関連するあらゆる情報が欧州委と加盟国間で共有されることになる。さらに、欧州委は新たに設置される有識者委員会の意見に基づき、EUレベルでの保健衛生上の緊急事態を宣言できることになる。

今回の法案の成立には、今後のEU理事会(閣僚理事会)と欧州議会での採択が必要となる。ただし、今回の法案が成立した場合でも、EUがどこまで一致した政策を打ち出せるかは未知数だ。EUにおいて、保健衛生に関する権限の多くは加盟国にあり、EUの権限はその調整に限られている。例えば、EUの準備対応計画は、あくまで各加盟国が策定する準備対応計画を補完するもので、欧州委との調整や定期的な報告が求められるものの、各準備対応計画の策定は引き続き加盟国が担う。ただし、各加盟国の新型コロナウイルスの感染状況や入国制限の情報の一元化(2020年10月14日記事参照)など、加盟国の協力が現時点で十分にされていない分野においては、一定の改善が期待される。

 (吉沼啓介)

(EU)

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