憲法裁、ビスカラ元大統領の罷免決議審議請求を棄却、合憲違憲の判断はせず

(ペルー)

リマ発

2020年11月24日

ペルー憲法裁判所(TC)は11月19日、議会によるマルティン・ビスカラ元大統領の罷免決議の合憲性についての審議結果を発表し、7人中4人の判事が元大統領は既に罷免されており、あらためて判断をする必要性はないとし、審議請求を棄却した。マリアネラ・レデスマTC首席判事は棄却判断への不服をメディアに表明し、「議会による罷免決議の乱用を防ぎ、再び今回のような社会政治危機を防ぐためのルール作り」の必要性を訴えた。

TCの審議結果を受け、ビスカラ元大統領は自身のツイッターで「多くの国民が命をささげてまで戦った民主主義に対して、TCは背を向けた。深く失望した」とコメント。そのほかにも、公的仲裁機関であるオンブズマン(Defensoría del Pueblo)も、合憲違憲の判断が出されなかったことに失望感を表明した。

調査会社IPSOSペルーが11月19日に発表した今回の罷免決議と抗議活動の世論調査結果によると、ビスカラ元大統領の罷免について88%が反対し、議会への支持率も前回10月時点の調査(2020年11月11日記事参照)の32%から9%と大きく下落しており、今回のTCによる判断は、国民にさらなる不信感を与えることは必至だ。

一方、保留にされていたエネルギー鉱山相の任命について、ビオレタ・ベルムデス・バルディビア首相は、予定されていたカルロス・フェルナンド・エレーラ・デスカルシィ前鉱山相でなく、同省鉱業担当副大臣のハイメ・ガルベス・デルガド氏を19日に任命し、その後のフランシスコ・サガスティ大統領による宣誓式で同相に就任した。ガルベス氏はエコノミストで、ペルーの鉱山会社ミネラ・アンタミナや南アフリカ共和国のゴールド・フィールズなど民間企業での勤務を経て、2017年から経済財政省(MEF)地方予算担当官、2020年8月からエネルギー鉱山省副大臣を務めていた。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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