WHO、年末の休暇シーズン前にアフリカ諸国に感染拡大への警戒呼びかけ

(南アフリカ共和国、アフリカ)

ヨハネスブルク発

2020年11月26日

世界保健機関(WHO)アフリカ地域事務局は11月19日、アフリカ諸国に対し、今後起こりうる新型コロナウイルス感染の急拡大に備え、厳戒態勢(High alert)を敷くよう呼びかけた。WHOはアフリカ地域と定義する47カ国中、19カ国で直近4週間の新規感染者数がその前の4週間に比べ、20%以上増加しているとした。アフリカでの感染の第1波は、南アフリカ共和国を中心とする南部アフリカがホットスポットだったのに対し、現在の感染拡大は、冬場を迎え気温が低下している北アフリカが中心だと警鐘を鳴らしている。

他方で、17カ国では直近4週間で感染者数が20%以上減少し、国ごとに状況が異なる点にも言及した。マツィディソ・モエティ同事務局長は、各国が2020年末の休暇シーズンに向かうにつれ集会や人々の移動が増え、大規模なクラスターを発生させる危険があることから、加盟各国政府に対して、地方レベルで高リスク地域を特定し、感染予防対策に努めるよう呼びかけた。

アフリカ地域では、タンザニアのようにWHOに感染者数の報告を行っていない国もあり、感染拡大の全容をつかむのは難しいが、感染者数累計が最多となっているのは南ア(74万9,182人)でアフリカ域内の過半数を占める(11月17日発表のWHOレポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。南アの感染状況は最近は横ばい傾向にあり、ほとんどの経済活動や国境が再開しているが(2020年11月13日記事参照)、東ケープ州での感染再拡大に警戒感が強まっている。感染者数累計では南アの次に、エチオピア(10万2,321人)、ケニア(6万9,273人)、アルジェリア(6万5,975人)と続く。特にアルジェリアでは直近1週間の感染増加率が2.3倍に達しているとWHOは警戒感を示している〔注:同レポートではモロッコ(28万8,211人)やエジプト(11万547人)も感染者数は多いが、WHOはアフリカ地域と定義していない〕。

(高橋史)

(南アフリカ共和国、アフリカ)

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