第3四半期のGDP成長率はマイナス3.6%、経済活動再開で上向き

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2020年11月20日

連邦国家統計局は11月12日、ロシアの2020年第3四半期の実質GDP成長率を前年同期比マイナス3.6%(速報値)と発表した(添付資料表参照)。リーマン・ショック後最大の落ち込み幅を記録した2020年第2四半期(マイナス8.0%)に比べ持ち直している。

第2四半期に大きく落ち込んだ経済指標の多くで、減少幅が縮小した。小売商品売上高は前年同期比2.5%減と13.5ポイント上昇。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止に向けた、各種制限措置の緩和が個人消費の回復に寄与している(「コメルサント」紙11月13日)。サービス分野では、落ち込みが顕著だった旅客運送業と飲食業がそれぞれ44.7%減、20.1%減と上向いた(2020年8月18日記事参照)(注)。農林水産業は好調を維持した。一方、鉱業は11.5%減と引き続き落ち込んだ。OPECプラスによる、原油価格維持に向けた協調減産合意が影響している。

2020年第4四半期以降の経済成長見通しについて、ロシアの政府系シンクタンクである戦略研究センターのウラジスラフ・オニシェンコ代表は「COVID-19流行と各種制限措置の再導入・強化次第。ルーブル為替レートの下落による輸入品価格の上昇や世界的な需要減速状況にも左右される」と指摘している。

IMFは10月に2020年の経済成長見通しをマイナス6.6%からマイナス4.1%に上方修正しており、ロシア中央銀行も10月23日にマイナス4.5~5.5%からマイナス4.0~5.0%に見直している。

(注)統計には小規模企業による生産額は計上されていないため、これを含んだ場合、実質GDP成長率の落ち込みが拡大する可能性が指摘されている(「コメルサント」紙11月13日)。

(宮下恵輔)

(ロシア)

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