第2四半期のGDP成長率はマイナス8.5%、「コロナ禍」の影響強く

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2020年08月18日

連邦国家統計局は8月11日、ロシアの2020年第2四半期の実質GDP成長率を前年同期比マイナス8.5%と発表した。リーマン・ショック後、最大の落ち込み幅を記録した。

鉱工業生産、貨物輸送、小売商品売上高、実質可処分所得などが前年同期比8%以上の落ち込みとなる中、農林水産業だけがプラス成長を維持した(添付資料表参照)。3月末に導入された外出禁止措置により、小売店や個人向けサービス分野の店舗が閉鎖となるなど、新型コロナウイルス感染症の対策措置による経済への悪影響が強く表れた。

落ち込みが顕著だったのは、旅客運送業(前年同期比マイナス79.0%)や飲食業(マイナス48.9%)で、サービス業全体ではマイナス37.2%だった(注)。

ロシア中央銀行のエリビラ・ナビウリナ総裁は、第2四半期のGDP成長率の落ち込みについて、国内外で継続する各種制限措置によるビジネス活動や消費の停滞が原因と指摘。経済の回復には1年半以上かかる可能性があるとコメントしている(「コメルサント」紙7月24日)。

2020年通年の経済見通しについて、世界銀行は8月16日に、ロシアの実質GDP成長率をマイナス1.0%からマイナス6.0%に引き下げている。IMFは6月時点の予測値で、マイナス5.5%からマイナス6.0%に下方修正しており、ロシア中銀も7月24日に、マイナス4~6%からマイナス4.5~5.5%に見直している。

(注)統計には、小規模企業による生産額は計上されていないため、これを含んだ場合、実質GDP成長率の落ち込みはさらに大きくなる可能性が指摘されている(「コメルサント」紙8月12日)。

(宮下恵輔)

(ロシア)

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