最新の経済見通しは回復基調も、為替市場に懸念

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年10月19日

アルゼンチン中央銀行は10月9日、国内外42人の民間エコノミストを対象に9月28~30日に実施したアンケート結果に基づき、最新の経済見通しの集計中央値(REM)を発表した。

インフレ率(消費者物価上昇率)では、2020年末に36.9%となると予測する(添付資料表参照)。月間インフレ率では、9月単月は3.0%となる見通しで、10月は3.5%、11月3.8%、12月4.0%と、徐々に上昇していくとの見方だ。今後12カ月間のインフレ率は50.5%となるとみている。2021年には47.5%、2022年35.7%と、引き続き複数年にわたってのインフレ率予測に改善はあまりみられない。

実質GDP成長率予測では、2020年はマイナス11.8%となった。前回調査の予測(マイナス12.0%)からわずかに改善した。四半期の予測では(季節調整済み、前期比)、2020年第3四半期の予測は9.8%、第4四半期は4.0%、2021年第1四半期は1.3%といずれもプラス成長を予測している。なお、2021年通年の成長率は5.1%、2022年は2.5%との見通しになっている。

外国為替相場では、2020年末に1ドル=83.8ペソ、2021年2月には90ペソに達し、2021年末には121.5ペソとなる予測が含まれた。

一方、10月9日付の現地紙「iプロフェッショナル」は、今回のアンケート調査は9月28~30日に実施されたため、10月1日に政府が打ち出した外貨準備高の改善策や為替に関する経済対策などの発表(2020年10月6日記事参照)による影響が反映されていないと指摘する。一連の政府の経済対策を受けて、市場では通貨切り下げが加速すると判断し、為替市場では並行レート(闇レート)が切り下がっている。政府の発表から10月9日までの間で、並行レートは20ペソ急落して1ドル=167ペソに達し、公定レート77.11ペソとの乖離率は約116%を記録した(添付資料図参照)。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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