2020年内の米伯貿易協定締結に向け交渉加速化で合意

(ブラジル、米国)

サンパウロ発

2020年04月21日

ブラジル外務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますおよび米国通商代表部(USTR)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは4月17日、2国間の経済および通商関係の強化に向けた共同声明を発出した。

共同声明によれば、米伯経済通商委員会(ATEC)における2国間の対話を加速化させ、2020年内に貿易ルールや規則の透明性に関する事項について結論に達することで合意したとされている。具体的には、貿易円滑化や良き規制慣行(good regulatory practice)が例示として挙げられており、また、2国間の貿易や経済関係の拡大に資するような事項について、双方の国内手続きとの整合性を保った形でともに検討を行うこととされている。

このブラジルと米国の2国間貿易協定に向けた動きは、親米とされるジャイール・ボルソナーロ政権発足を契機に始まり、まず2019年3月19日に行われたボルソナーロ大統領と米トランプ大統領の初回の首脳会談の際、既存の米伯経済通商委員会(ATEC)を強化していくことが合意され、その後2019年7月31日にブラジル政府が2国間の貿易協定交渉の開始をプレス公表していた。さらに、2020年3月7日に行われた両首脳の会談の際、貿易協定締結に向けた議論を深化させるようあらためて指示がなされたものだ。

なお、本貿易協定は関税の自由化を目指すいわゆる自由貿易協定ではなく、貿易手続きの円滑化や規制の透明性向上を目的とした非関税分野における協定となる見込みだ。これは、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイとともに構成する関税同盟であるメルコスールでは、関税率の設定に関する事項はメルコスール一体として行うべきことが規定されており、1国単独で関税率に関する交渉を行えないためだ(2000年メルコスール共同市場理事会決議第32号による)。

(岩瀬恵一)

(ブラジル、米国)

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