文化施設支援のため新法に基づく「新型コロナ政令」決定

(スイス)

ジュネーブ発

2020年10月21日

スイス連邦参事会(内閣)は、新型コロナウイルス感染の影響緩和のための文化事業支援パッケージを更新し、10月14日にそれに対応する政令を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これまで参事会が講じてきた各種の新型コロナウイルスの影響による経済対策について、法的根拠を明確にする新法が9月25日に成立しており、今回はこれに基づく政令となる。

参事会は文化的施設の置かれた現状に鑑み、これまでも文化関連産業への支援措置を講じてきた(2020年3月26日記事2020年5月15日記事参照)。今回の支援パッケージでは、「新型コロナ禍」の経済損失や文化ビジネスにおいて企業が感染症対策を講じるため必要な支援を州政府経由で行うものなど、以下の4スキームを設けている

  • 文化事業を行う企業が行政措置により文化イベントの中止や延期、縮小開催などで被った経済損失について、損失額の80%を上限に給付金を支給する。
  • 感染防止対策を講じる企業に対し、1件当たりの必要経費の60%まで支給し、各企業が受け取れる支援総額の上限は30万スイス・フラン(約3,480万円、CHF、1CHF=約116円)。
  • 文化事業を行う個人事業者への緊急支援として、スイス文化協会が事業継続のために支援が必要と認めた個人に、1日当たり最大196CHFを給付する。
  • 音楽と演劇の分野で活動するアマチュア文化団体が行政措置によりイベントの中止や延期、縮小開催などで被った経済損失に対し、1件当たり1万CHFを上限に同損失額の80%まで給付する。

これらの措置のために、連邦政府は2020年に5,000万CHFを拠出する。2021年には企業向け給付に1億CHF、スイス文化協会経由の個人事業主向け給付に2,000万CHF、アマチュア文化団体向けの支援に1,000万CHFを拠出する見込み。

この政令は前述の新法の施行日である9月26日にさかのぼって施行され、2021年12月31日まで有効。

(和田恭)

(スイス)

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