文化施設の支援を延長、新型コロナ対策アプリのテストを規制する政令も整備

(スイス)

ジュネーブ発

2020年05月15日

スイス連邦参事会(内閣)は5月13日、新型コロナウイルス感染の影響を受けた文化施設に対する支援期間を4カ月延長し、9月20日までとすることを決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。3月20日の閣議で、当面2カ月間のイベントキャンセルに関する支援として2億8,000万スイス・フラン(約308億円、1フラン=約110円)の予算措置を決定していたが(2020年3月26日記事参照)、実際の影響は2カ月間をはるかに超えることによる。

美術館、図書館などを除く多くの文化施設の再開は6月8日以降で、1,000人を超える集会は8月末まで禁じられている。これまでの支援も、経済損失をカバーするための無利子融資に限定されており、既に2億3,400万フラン分の支援要請が上がってきている。連邦参事会は、現時点で支援予算の増額を明示していないが、近日中に必要となる可能性が高いとみられる。

また同日、参事会は、連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)および同チューリッヒ校(ETHZ)で開発が進んでいる、新型コロナウイルス感染者の近接情報把握アプリ(2020年4月24日記事参照)のパイロット試験の実施を前に、これを規制する6月30日までの期限付き政令を制定した。同政令はデータ保護法に基づき、試験段階においてアプリケーションの構成・運用・利用およびデータ処理を規制する。

次週から予定されているパイロット試験に参加するのは、EPFLとETHZの職員、軍隊(動員された予備役)、病院職員、連邦および州政府職員。アプリは、技術面の検証のため、その他の組織や人々の利用にも供される

なお、本アプリの本格運用のためには、次回国会における立法を待つ必要があるとされており、5月20日の閣議では、パイロット試験以降の段階に適用すべき法案が審議されることとされている。

(和田恭)

(スイス)

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