トランプ米大統領、選挙後まで民主党との景気刺激策の協議停止を指示
(米国)
ニューヨーク発
2020年10月07日
ドナルド・トランプ米大統領は10月6日、議会民主党と新型コロナウイルスに対する追加の景気刺激策の協議に当たっていた政権の代表者に対して、選挙後まで協議を停止するよう指示した。代わりに、上院のミッチ・マコーネル院内総務(共和党、ケンタッキー州)に対して、エイミー・バレット最高裁判事候補の承認に集中するよう要請した。
新型コロナウイルス感染症の治療後、前日の5日夕に退院したばかりのトランプ氏は自身のツイッターで6日、「ナンシー・ペロシは、統治が不十分で、犯罪の多い民主党州を救うために、新型コロナウイルスと全く関係のない2兆4,000億ドルを要求している。われわれは寛大な1兆6,000億ドルの提案をしたのに、彼女はいつもどおり誠実に交渉していない」と、ペロシ下院議長(民主党、カリフォルニア州)を批判した。さらに、スティーブン・ムニューシン財務長官ら政権の交渉代表者に、選挙後まで民主党との景気刺激策の協議を停止するよう指示したとし、自身が選挙に勝利した暁にはただちに景気刺激法案を通すと述べた。
政権・議会共和党と議会民主党は3月に成立させた新型コロナウイルス対策法「CARES法」(2020年3月30日記事参照)に続く追加の景気刺激策に関して協議を続けてきた。しかし、両者の折り合いがつかず、8月にはトランプ大統領が失効していた失業保険の追加給付を大統領令などの行政措置で限定的に復活させるなど、限られた措置にとどまっていた(2020年10月6日記事参照)。
ペロシ下院議長は6日、「ホワイトハウスは完全な混乱にある。彼らはパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が今日発した『過少な支援は回復を弱め、家計とビジネスに対して不必要な負担を生み出すことになる』という差し迫った警告を拒絶している」との声明を出した。パウエルFRB議長は同日、全米企業エコノミスト協会(NABE)の年次総会で、米国経済の現状と今後の課題について講演を行っており、ペロシ下院議長が引用したように、景気回復のための公的支援の必要性を指摘していた。
(磯部真一)
(米国)
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