ラタム航空、経営再建に向けた初回融資を受ける

(チリ)

サンティアゴ発

2020年10月19日

中南米最大の航空会社であるラタム航空グループは、米国連邦破産法第11条(Chapter11、日本の民事再生法に相当)のDIPファイナンス(注1)によって1度目の融資となる11億5,000万ドルを受けたことを発表した(同社プレスリリース10月8日付)。ラタム航空は、新型コロナウイルスによる旅客輸送激減の影響を受け、5月26日に米国連邦破産法第11条の適用を申請しており(2020年7月27日記事参照)、9月17日に提出した資金調達計画修正案が米国裁判所によって承認されていた。

承認された計画では、DIPファイナンスの総額は24億5,000万ドルになるとされている。内訳は、米国資産運用会社のオークツリー・キャピタル・マネジメント(投資額:11億2,500万ドル)と、ナイトヘッド・キャピタル・マネジメント(1億7,500万ドル)からなるトランシェ(注2)Aが13億ドル、カタール航空と主要株主の財閥であるチリのクエトおよびエブレン(7億5,000万ドル)、ナイトヘッド・キャピタル・マネジメント(2億5,000万ドル)、チリの投資ファンドのトエスカ(Toesca SA Administradora General de Fondos)(1億5,000万ドル)からなるトランシェCが11億5,000万ドルとなっている。

ラタム航空の8月18日付プレスリリースによると、同社の2020年第2四半期(4~6月)決算では、収益が前年同期比75.9%減となった影響から、8億9,000万ドルの純損失が計上されている。併せて、第2四半期中だけで同社グループに所属する従業員1万2,600人を解雇したことも発表されており、新型コロナウイルスの国内流行により国境を封鎖した影響がダイレクトに表れた結果となった。

(注1)民事再生法、会社更生法の手続き申し立て後から、手続き終結までの間に行う融資のこと。

(注2)リスクや金利などの条件に従って、分割された一部分を示す金融用語。

(岡戸美澪)

(チリ)

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