ミャンマー、世界税関機構(WCO)の改正京都規約に加入へ

(ミャンマー)

アジア大洋州課

2020年10月16日

世界税関機構(WCO)は10月6日、ミャンマーから「税関手続の簡易化及び調和に関する国際規約の改定議定書」(改正京都規約)加入に関する寄託を受けたことを明らかにした。 2021年1月2日に発効する予定で、同国は123番目の締約国となる。

改正京都規約は2006年に発効した国際条約で、各国の税関手続きの簡易化と調和、貿易コスト削減や通関手続きの予見性向上などを目的としている。同条約に含まれる内容は、税関業務の透明性・予見性の向上のほか、申告や各種貿易書類の標準化・簡易化、担当官による簡素化された手続き、ITの最大限の活用、規制に基づくコンプライアンスを担保した適切な税関審査などを定めている。また、新型コロナウイルス流行下においては、同規約の特定別表J第5章に記載されている、人道的な目的から輸入される救援物資や設備の輸送円滑化に向けた、適切な基準と推奨される対処の項目が注目されている。

ボトルネックの貿易円滑化が進む可能性も

ミャンマーはWTO貿易円滑化協定(2017年)を批准して履行を進めているが、今回の改正京都規約への参加により、同国での貿易関連手続きがよりスムーズになる可能性がある。同国はこれまでも貿易円滑化に取り組んできたが、世界銀行が発表している物流パフォーマンス(LPI)のランキングでは世界160カ国中137位と低く、ベトナム(39位)やラオス(82位)、カンボジア(98位)など周辺国に劣後している。

ジェトロの2019年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査では、ミャンマー進出日系企業(有効回答:106社)の84.9%が貿易円滑化措置を要望しているという結果が出ており、貿易・税関手続きが企業進出上のボトルネックにもなっている。特に、貿易制度・手続き情報の充実(データベース構築、オンライン情報の整備など)、関税分類評価の解釈統一(港湾当局や担当者間での異なる判断の防止など)、輸入ライセンス取得手続きの簡素化・迅速化などは、ミャンマー進出日系企業の4割~5割が要望している。(2020年3月17日付地域・分析レポート参照)

(北見創)

(ミャンマー)

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