日本財団、日本メーカーと石油メジャーの連携技術開発プロジェクトのアイデア募集

(米国)

ヒューストン発

2020年10月01日

米国をはじめ世界の石油ガス上流企業の間で持続可能な開発の観点からESG(注1)投資の拡大が不可欠となっている中、日本財団は9月17日から、日本メーカーと石油メジャーによる「再生可能エネルギー」「環境」分野での新たな連携技術開発プロジェクトのアイデアを募っている外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。提案の締め切りは10月16日の予定。

日本財団は2018年5月、世界の主要石油・天然ガス生産大手らが組むコンソーシアム「DeepStar」(注2)と海洋技術の共同開発のため覚書(MoU)を締結し(2018年5月18日記事参照)、日本企業がこれらスーパーメジャーなどと連携して技術開発を行うプログラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを設置した。これまで2019年、2020年と2期にわたり、連携R&D案件を実施し、現在10件の共同技術開発が進行中だ。同プログラムの事業期間はMoUに基づき2023年4月まで実施予定となっており、今回、日本財団が募集している案件は第3期以降の連携案に当たる。

今回の募集テーマには、DeepStarに参画するスーパーメジャーなどのESG投資への意欲の高さが反映されている。具体的には、(1)「油層の熱エネルギーを用いた地熱発電(再生可能エネルギー)」、(2)「沖合の石油・ガス生産現場への風力・潮力発電設備開発(再生可能エネルギー)」、(3)「生産施設における可燃ガス除去・再注入の低コスト化(地球温暖化対策)」、(4)「ドローンを用いた地域的な海流モニタリングによる流出油の漂流シミューレーション手法開発(海洋環境対策)」、(5)「水素関連技術」、(6)「通常無人施設やロボティクスを含む安全関連技術」、(7)「水処理関連技術」といった新たなテーマ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで日本企業との連携を模索している。

ジェトロは上記MoU締結段階からこのプロジェクトを支援しており、これまで日本財団とDeepStarの連携R&D案件の組成や、各プロジェクトのパートナーとなる日本企業とDeepStarの契約締結支援、ウェブ会議を通じたプロジェクトの進捗管理などを通じて、採択された日本企業を積極的に支援している。

(注1)ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字を取ったもの。これら3つの取り組みに配慮して事業活動を推進しているかどうかは、企業評価を測る1つの指標として使われている。

(注2)DeepStarとは、上流企業と呼ばれるシェブロン(米国)、シェル、エクイノール(ノルウェー)など、世界中の海洋石油・天然ガスの探査・開発・生産を担う企業や、これら企業に製品・サービスを提供する企業、大学、研究機関などから成る海洋技術開発のコンソーシアム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(沖本憲司)

(米国)

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