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農業の環境対応、食品の安全性や品質への関心を高めるEU消費者

(EU)

ブリュッセル発

2020年10月16日

欧州委員会は10月13日、EUの農業と食品に関する世論調査の結果(注1)を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。本調査は2007年以降、2年ごとに公表されているもので、今回は2020年8~9月にEU各国において、合計2万7,237人を対象に、対面もしくはオンラインでのインタビュー形式で実施された。

回答者の95%が「農業や農村地域が自分たちの未来にとって重要だ」と答え、EUの農業政策における主要課題としては、「安全で健康に良い、高品質の食品を供給すること」(62%)、「農業従事者の生活水準を守ること」(51%)や「農村地域での雇用の創出」(45%)などのほか、環境対策を重視する人がこの10年でさらに増えていることが分かった。

「農業は気候変動対策に既に大きな貢献をしている」と考える人は、2009年の調査結果(注2)の46%から55%へ増加したものの、「農業が気候変動の主要な原因の1つ」とした人も29%から42%に増加した。また、69%が「EU農業が競争力を失うことになっても、気候変動に対応するため、農家は生産方法を変える必要がある」、66%が「カーボン・フットプリントを抑制する方法で生産された製品を購入するため、1割程度多く支払う用意がある」と回答した。さらに、92%が「環境に配慮した生産を行う農業従事者に対して、EUが補助金を出すことに賛成」だと回答した。

EUは「欧州グリーン・ディール」(2019年12月12日記事参照)や「農場から食卓へ(Farm to Fork)戦略」(2020年8月28日付地域・分析レポート参照)などを通じ、農業、食品生産において環境対策やサステナビリティ(持続可能性)をより重視する姿勢を打ち出しているが、今回の調査結果から、EUの消費者も同様の志向を持っているといえるだろう。

安全性、品質や産地への関心も高い

食品の安全性や品質への関心も高い。同調査の回答者の87%が「食品を選ぶ際、生産者からの直接購入か、もしくは仲介業者ができるだけ少ないことを重視する」とし、約8割が産地、オーガニック食品や地理的表示(GI)など品質保証表示や製法を気にすると答えた。オーガニック食品については、91%が「価格が他と比較して高い」と回答したが、品質、安全性がより高いと考える人もそれぞれ74%、71%だった。また、一般の食品よりも環境に配慮した方法で生産されていると考える人も81%と、消費者のオーガニック食品への信頼の高さがうかがえる。EUは、2030年までにオーガニック農地面積を全体の25%まで拡大することを目標として、オーガニック農業をさらに普及させることを目指している(2020年9月7日記事参照)。

また、農産物・食品の貿易に関連して、EUと同等の環境およびアニマルウェルフェア(注3)基準を順守した製品のみ輸入を認めるべきだと回答した人は88%となり、品質や安全性への関心がこの点からもうかがえる。他方、EUが締結する貿易協定を、消費者として、またEU農業にとっても好意的にとらえる人はそれぞれ65%、60%だった。

(注1)今回発表されたのは概要版で、11月に報告書全文が発表される予定。

(注2)2009年は、当時加盟していた英国を含む27カ国で調査を実施し、クロアチアは加盟前だった(2013年に加盟)。欧州委は、この点が調査結果に影響する可能性はあるとしている。

(注3)アニマルウェルフェアとは、国際獣疫事務局(OIE)によって「動物がその生活している環境にうまく対応している態様」と定義され、生産性や安全性を向上しつつも、家畜の快適性に配慮した飼養を行うこと。

(滝澤祥子)

(EU)

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