欧州委、新しいオーガニック規則の適用開始の1年延期を提案
(EU)
ブリュッセル発
2020年09月07日
欧州委員会は9月4日、EU加盟国や欧州議会、EU域外国、その他の関係者の要請を受けて、新しいオーガニック規則(注)の適用開始日を1年遅らせ、2022年1月1日とすることを提案したと発表
した。これまで適用開始日としていた2021年1月1日までに関連する2次的な諸規則を整備するには、関係者、欧州議会や加盟国の間で徹底した協議が必要だが、もともと調整が非常に困難だったことに加え、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、さらに遅れが生じており、仮に2020年末までに採択されても、新規則の適用開始日まで間がないことを理由としている。また、EUにオーガニック製品を輸出する第三国が新規則に適応するためにも時間が必要とした。
国際有機農業運動連盟(IFOAM)ヨーロッパは、欧州内のオーガニック農家や加工業者、卸売業者、認証機関などが新規則に適応するのに十分な時間を持つことができ、オーガニック認証システムの質を維持できるとして、延期の提案を歓迎し、欧州議会に対して欧州委の延期の提案を早期に採択するように要請した。
「オーガニック農業行動計画」策定へ向け公開諮問も開始
同時に欧州委員会は「オーガニック農業行動計画」の策定のため、公開諮問(パブリックコンサルテーション)を開始すると発表した。欧州委は、オーガニック農業は「欧州グリーン・ディール」(2019年12月12日記事参照)や、「農場から食卓へ(Farm to Fork)戦略」(2020年8月28日付地域・分析レポート参照)、「生物多様性戦略」で掲げる目標の達成のために重要な分野と位置付け、2030年までにEUのオーガニック農地面積が全体の25%まで拡大させることを目標としている。「オーガニック農業行動計画」は、(1)消費者の信頼を得ながら、オーガニック製品への需要を高める、(2)EUにおけるオーガニック生産を増やす、(3)持続可能な資源マネジメントや生物多様性の保全も含め、気候変動対策におけるオーガニック農業の地位を高めるという3つの観点から構成される予定で、2021年初頭の採択を予定している。
(注)新しいオーガニック規則における改正点などについては、ジェトロの調査レポート「欧州における有機食品規制調査(1.2MB)」(2018年3月)を参照
(滝澤祥子)
(EU)
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