トヨタ、北米での生産稼働率が9割超まで回復

(米国、カナダ)

シカゴ発

2020年10月27日

米国トヨタ自動車のクリストファー・レイノルズ上級副社長(製造部門トップ)は10月22日、報道機関のインタビューに応じ、「9月末の時点で北米における生産稼働率が93.7%まで回復した」と述べた。同社の電話会見での説明によると、米国で操業する同社の多くの工場において、昨今の需要増に対応するための時間外労働や、週末の工場稼働を実施しているという。特に、ピックアップトラックやクロスオーバー、ハイブリッド車の需要が旺盛で、テキサス州サンアントニオの工場では「過去最大規模の時間外稼働」に加えて、月3回土曜日に工場を稼働しているという。

米国自動車部品工業会(OESA)が9月中旬に実施したサプライヤー向けのアンケートでも、カナダを含む北米の生産稼働率は平均85%まで回復しているとの結果が出ており、年末まで力強い回復が見込まれている。しかし、回答者の約6割が、工場労働者の欠勤率が5%を超えることなど生産体制への懸念を表明しており、各社は残業や採用強化などで対応しているもようだ。トヨタの場合、カローラを製造するミシシッピ州の工場では、組立工全体の1割以上に当たる200人の従業員を追加雇用したほか、工場勤務経験のあるホワイトカラー労働者を製造現場に派遣しているという(全米公共ラジオ放送NPR9月14日)。

2020年の新車販売台数は6月の予測を超える見通し

2020年の米国の自動車販売は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、大きく落ち込んでいる(2020年7月8日記事参照)ものの、力強い回復をみせている。米国トヨタ自動車のボブ・カーター上級副社長(販売部門トップ)は会見で、「2020年の米国市場全体の年間新車販売台数は1,450万台を見込める」と述べた。2019年の1,705万台に比べると15%の大幅な減少になるが、6月ごろに米国の各調査会社が予測していた1,200万~1,300万台(2020年6月9日記事参照)からは順調に回復しているといえる。また同氏は、2020年末から2021年にかけて力強い回復が続くとみており、2021年の新車販売台数は1,550万台まで増加するとの展望を述べた。

(河内章)

(米国、カナダ)

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