米政府、イランの金融機関18行への制裁を強化、外国企業による取引も禁止の可能性

(米国、イラン)

ニューヨーク発

2020年10月12日

米国財務省は10月8日、イランの金融機関18行への制裁を強化すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。財務省はイランの18行が米国内に有する資産を凍結するとともに、「米国人(United States person)」(注1)による制裁対象との取引などを禁止する。また、45日間の移行期間後の11月23日以降は、非米国人による制裁対象との一定の取引なども2次制裁の対象となり得る。

財務省は、今回の制裁対象18行(注2)に関して2018年に、オバマ政権時のイラン制裁に関する大統領令13599号に基づいて、米国人との取引などを禁止する1次制裁の対象に指定PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)していた。今回は、トランプ大統領が2020年1月に署名した大統領令13902号に基づき(2020年1月14日記事参照)、それら対象を「特別指定国民および資格停止者(SDN:Specially Designated Nationals and blocked persons外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」リストに掲載し、非米国人との取引なども禁止する2次制裁の対象にも加えた。

財務省の発表によると、非米国人が45日間の移行期の後に、制裁対象と一定の取引などを行った場合、2次制裁に抵触し法執行の対象になり得るとしている。ただし、人道目的の活動については制裁措置の対象にならないとしたほか、制裁対象外の取引などに関する「一般許可L(General License L)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を併せて発表した。また、今回の措置の補足的な説明として、イラン制裁に関するFAQのページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに842~847番までの解説を追加している。

これら一般許可LとFAQによると、例えば、「イラン取引制裁規則(ITSR)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で既に認められている取引・活動や、農産物、食糧、医薬品・医療機器関連の取引は制裁対象外となる(ただし、SDNリスト掲載対象が含まれていないことが条件)。また、FAQ847では、外国金融機関および非米国人が、生命の保護、健康、安全のためにイラン国内のみで利用される物品・サービスに関する取引に関与することは、一般的に米国の制裁に抵触しないとしている。また、財務省は45日間の移行期間後も、一定の取引形態を制裁対象から除外するかを精査するとし、非米国人によるどのような取引・活動が制裁対象となるかに関する追加のガイダンスを発表する予定としている。

スティーブン・ムニューシン財務長官は今回の措置を、18行による米国ドルへの不正アクセスを遮断するものとし、「イランがテロ活動支援と核開発プログラムを終了させるまで、われわれの制裁は続くことになる」との声明を出している。

(注1)米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人を指す。

(注2)制裁対象のリストは財務省のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認が可能。

(磯部真一)

(米国、イラン)

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