IMF、サブサハラ・アフリカの2020年経済見通しを0.2ポイント上方修正

(アフリカ)

中東アフリカ課

2020年10月16日

IMFは10月13日に発表した「世界経済見通し」の中で、サブサハラ・アフリカの2020年の経済成長率をマイナス3.0%とし、6月の発表時から0.2ポイント上方修正した(添付資料表参照、2020年6月30日記事参照)。ナイジェリアやアンゴラなどの石油輸出国(注)は平均でマイナス4.1%、南アフリカ共和国を含む中所得国は平均でマイナス5.1%となった。

国別でみると、サブサハラ・アフリカで最も深刻と予測されたのは、観光業が新型コロナウイルスによる打撃を受けたモーリシャス(マイナス14.2%)やセーシェル(マイナス13.8%)だった。産油国のナイジェリアとアンゴラは、それぞれマイナス4.3%とマイナス4.0%。ナイジェリアは6月の予測から1.1ポイント上方修正された(アンゴラは不変)。また、石炭産出国の南アはマイナス8.0%となり、引き続き低成長の予測だった。新型コロナウイルスの影響により南ア国内の石炭供給が低迷した一方、インド産業界からの強い需要が南アの石炭価格を下支えしている。

2020年の消費者物価はサブサハラ・アフリカ全体で10.6%上昇(年平均)、南スーダン(27.1%)、アンゴラ(21.0%)、エチオピア(20.2%)で大幅な上昇の予測となったほか、ジンバブエでは上昇率622.8%と深刻な数値が予測されている。経常収支は、サブサハラ・アフリカ全体でマイナス4.8%(GDP比)、低所得国平均はマイナス7.7%としている。国別でみると、モザンビーク(マイナス60.0%)やセーシェル(マイナス28.3%)でとりわけ悪化するとした。

サブサハラ・アフリカのように出稼ぎ労働者が多い地域・国にとっては、国外からの送金減少のリスクは看過できない。新型コロナウイルス感染拡大で世界各国がロックダウンを敷いた当初の、大幅な送金額減少からは回復しつつあるが、引き続きリスクは残る。

(注)そのほか、ガボン、コンゴ民主共和国、チャド、赤道ギニア、南スーダンを含む。

(堀田萌乃)

(アフリカ)

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