英EU交渉、10月22日から集中協議を再開

(英国、EU)

ロンドン発

2020年10月22日

英国政府は10月21日午後、EUとの将来関係に関する交渉を再開すると発表した。前週の欧州理事会を経て、19日にもロンドンで交渉が再開される予定だったが、英国政府は欧州理事会の結論は不十分と判断し、EU交渉団の受け入れを留保していた(2020年10月19日記事参照)。英国のデービッド・フロスト首席交渉官と欧州委員会のEU英国将来関係タスクフォースのミシェル・バルニエ代表は21日の電話協議で、今後は双方の協定条文案に基づき交渉を行うことなど10項目の基本原則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに合意。条文案に基づく交渉は、英国首相官邸が交渉再開の条件の1つに位置付けていた。再開決定後の最初の交渉は、22日から25日までロンドンで行われる。

今回の交渉再開決定に先立ち、EUのバルニエ代表は10月21日朝、欧州議会で英EU間交渉について演説。「(EUと英国の双方が)建設的かつ歩み寄りの精神で、今後数日の間に条文案に基づき(協議を)前に進めれば、合意に手が届くと考えている」と述べ、双方の妥協を前提に集中的に交渉する必要性を指摘している。

さらに、同氏は「(EUの)交渉原則は、ジョンソン政権のもっともな懸念である英国の主権(を損なわないこと)と全く両立可能」「両者間のいかなる将来合意も、EUの意思決定の自律性と英国の主権を尊重するものだと、(1年前に双方が合意した英EUの将来関係に関する)政治宣言でうたっている」と述べ、英国の主権を尊重する姿勢を強調。EUルールへの一方的追随に反発する英国に配慮を示した。英国政府はこれらの発言を評価し、交渉を再開する考えを固めた。再開後は、双方の溝が大きい漁業や政府補助金などの分野で妥協が成立するかが焦点となる。

(宮崎拓)

(英国、EU)

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