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対EU交渉打ち切りかは曖昧、通商合意なき移行期間終了への準備加速

(英国、EU)

ロンドン発

2020年10月19日

英国とEUの将来関係交渉をめぐり、ボリス・ジョンソン英首相は10月16日朝、前日の欧州理事会での協議(2020年10月19日記事参照)を踏まえて声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表。英・EU間の自由貿易協定(FTA)不成立への備えを呼び掛ける一方、打ち切りは明言しなかった。

ジョンソン首相は9月上旬、EUとの交渉期限を10月15日に設定(2020年9月8日記事参照)。期限前日の14日夜には、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長、欧州理事会のシャルル・ミシェル常任議長と電話で協議し、英国の次の方針は欧州理事会での協議結果を踏まえて固めると伝えていた。その上で16日の声明で、今回の欧州理事会では公正な競争条件に関する過度な取り決めを伴わないカナダ型の協定が明確に否定されたと述べ、「われわれは(移行期間終了後の)2021年1月1日から、(EUとの通商関係が)簡素な世界自由貿易の原則に基づくオーストラリアとの取り決めのようなものとなることに備える必要がある」と結論。同時に、進展が見られていた社会保障や航空、原子力協力などの分野については、EUと実務的な対応を協議したいとの考えも示した。

一方、フォン・デア・ライエン委員長は10月16日昼ごろ、「交渉団は予定どおり来週にロンドンを訪問し交渉を加速させる」とツイート。しかし、BBCなどによると、同日午後には英首相官邸の報道官が「EUとの通商交渉は終わった」と述べ、EUが詳細な協定の条文案を基に協議を行う用意がなければ、協議を継続する意味がないと発言した。英国のデービッド・フロスト首席交渉官も、欧州委員会のEU英国将来関係タスクフォースのミシェル・バルニエ代表に対し、予定されている10月19日からの協議を行う理由がないと伝えたという。一方、英首相官邸は電話協議には同意しているとも報じられており、EUとの駆け引きが継続、協議再開の予定は不透明だ。交渉は11月以降までずれ込むとの見方も増えつつある。

ムーディーズは英国を格下げ

声明を受けて英政府は19日から、「残り時間はあとわずか(Time is running out)」と題したキャンペーンを展開、国内事業者に移行期間終了後への準備を促す。英国の事業者で国外取引がEU加盟国のみに限られるのは二十数万社以上と推計されており(2019年10月16日記事参照)、これら事業者には書簡外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも送付して注意を喚起する。政府は2019年10月末のEU離脱を予定していた同年9月にも、同種のキャンペーンを実施した(2019年9月4日記事参照)。

格付け大手ムーディーズは10月16日、英国の長期ソブリン格付けを「Aa2」から「As3」に引き下げ、格付け見通しを「ネガティブ」から「安定的」に変更した。2017年9月以来約3年ぶりの引き下げで、理由の1つとして、EU離脱とその後のEUとの通商交渉で合意できていないことが英国経済の長期的な見通しを悪化させていることを挙げた。

(宮崎拓)

(英国、EU)

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