ASEAN物品貿易協定(ATIGA)の電子原産地証明書の正式運用開始へ

(ラオス)

ビエンチャン発

2020年09月08日

ラオス商工省は8月28日付で商工省告示(No.1428/PSO.MOIC)」を発布し、ASEAN物品貿易協定(ATIGA)の電子原産地証明書(e-Form D)の正式運用を開始することを通知した(注1)(添付資料参照)。ラオスでは、2019年12月からe-Form Dの試験運用を開始していたが、国内システムの安定性が確保できたことから、正式運用に移行する。商工省輸出入局原産地課によると、当面はForm Dで紙媒体と電子媒体の原産地証明書を併用していくという。ATIGAに記載されている原産地に関する条件を満たしたラオスからの輸出品は、ラオスの原産地証明システムから、ASEANシングルウィンドウ(ASW)を介してe-Form Dが電送され、輸入業者はその輸入国で適用される関税優遇を受けることができる。

ラオスへの輸入時も同様だが、現時点では利用に注意が必要だ。財務省関税局によると、9月中に省内の調整を終了させ、輸入時のe-Form Dの利用を開始する見通しだ。ASWのラオスでの通関手続きを電子化するラオ・ナショナル・シングル・ウィンドウ(LNSW)は、2019年からラオス・タイ国境の第一友好橋を経由した四輪車の輸入に限定して開始、来る9月14日からは第一友好橋を経由する全ての一般商品や化石燃料の輸入に適用されることになっている(注2)。このため、当面は第一友好橋の輸入時のみe-Form Dの使用が可能で、他の国境を経由する場合は紙媒体の原産地証明書を引き続き使用する必要がある。

タイから輸送機器をラオスへ輸入する日系企業によると、これまで至近距離にあるタイからの輸入時に商品が先に到着してしまうため、紙媒体の原産地証明書の到着まで2日程度、ヤードに留め置く必要が生じていた。e-Form Dの開始により待ち時間が不要となり、コスト削減にもつながることから、スムーズな運用に期待したいと述べる。

(注1)本取り組みは中央貿易円滑化指導委員会が7月に発表した2022年までの貿易や輸送に係る改善のための51項目のアクションプランにも掲げられている(2020年7月21日記事参照)。

(注2)第一友好橋税関でのラオ・ナショナル・シングル・ウィンドウの一般商品と化石燃料の輸入管理への利用開始に関する財務省事務室告示(No.1573/MOF、2020年8月5日付)(添付資料参照)

(山田健一郎)

(ラオス)

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