内国税の課税対象最低金額が改定、輸入車販売価格に影響

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年09月14日

アルゼンチンの公共歳入連邦管理庁(AFIP)は8月31日、自動車および二輪車の国内販売時に課される内国税〔奢侈(しゃし)税、Impuesto Interno〕の新たな課税対象最低金額を発表した。同金額は、3カ月ごとに更新される仕組みになっており(2019年1月16日記事参照)、今回発表された金額は2020年11月30日まで有効。

品目別の課税対象金額と課税率は、次のとおり。

【乗用車、キャンピングカー、モーター付きシャーシーなど】

  • 145万1,300.18ペソ以下:課税対象外
  • 145万1,300.18ペソ超~267万9,323.40ペソ以下:20%
  • 267万9,323.40ペソ超:35%

【二輪車】

  • 42万8,577.88ペソ以下:課税対象外
  • 42万8,577.88ペソ超~54万9,458.82ペソ以下:20%
  • 54万9,458.82ペソ超:35%

(※上記は卸売価格、すなわち販売代理店向けの金額で、租税や手数料が含まれない金額。1ペソ=約1.4円)

8月31日付の現地自動車情報専門ブログ「アウトブログ」は、AFIPの発表により、「内国税の課税対象となる中低価格クラスの輸入車が増える」とともに、「消費者が支払う価格が大きく引き上げられる」と伝えている。8月26日付現地紙「アンビト」の調べでは、国内で輸入車に課される諸税を算出すると、「最終的な販売価格は約120%上がる」と伝えている。例えば、アルゼンチンの港に到着した時点の輸入車のベース価格が110万ペソだった場合、輸入税(35%、注1)、統計税(3%)が課される。この時点で、既に145万1,300.18ペソを超えるため、内国税の対象となる。その後、輸入業者や販売代理店の手数料(会社によって税率が異なる)、付加価値税(IVA税、21%)、内国税(20%)を課した結果、最終的な消費者価格は240万4,772ペソになると伝えている(注2)。

アルゼンチン自動車販売代理店協会(ACARA)によると、2020年8月の新車販売登録台数(重・軽商用車およびその他大型車も含む)は3万418台(前年同月比31.5%減)、2020年累計は21万4,306台(前年同期比37.7%減)と見込まれている。8月の販売台数全体の68%は輸入車が占めるが、前年同月では73%を占めていた。6月9日付の現地紙「Iプロフェッショナル」などによれば、2020年6月ごろから、政府による輸入規制強化も影響しているとされる。他方、政府と自動車メーカー側が、国内生産と輸出を増加することで合意したことにより、輸入枠が設けられ(2020年9月11日記事参照)、9月からは徐々に自動車輸入が緩和される見通しだ。

(注1)アルゼンチンが2国間自動車協定を締結している、ブラジルおよびメキシコについては定められた原産地規則を満たせば、輸入枠内において関税無税で輸入できる。

(注2)課税算出方法は複雑で、必ずしもこのとおりの金額にならない点に留意が必要。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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