自動車メーカー、輸入枠確保のために生産拡大へ

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年09月11日

アルゼンチン自動車製造業者協会(ADEFA)は9月3日、2020年8月の国内生産台数(大型トラック・バスを除く)が2万5,835台(前年同月比16.2%減)、輸出台数が1万3,606台(27.8%減)と発表した(添付資料図1、2参照)。また、2020年1~8月でみると、生産台数は前年同期比37.5%減、輸出台数は47.8%減と厳しい状況が続く。2020年全体の生産台数は25万台の見通しで、2003年以来の最低水準となる。

生産台数の内訳をみると、2020年1~8月において、乗用車が4万5,740台(前年同期比39.8%減)、商用車が8万7,850台(36.2%減)となった。8月に限定すると、乗用車は前年同月比3.1%減、商用車は22.1%減少している。

また、輸出台数は、8月は1万3,606台で2020年3月の水準に近づくまでに回復したものの、前年同月比では27.8%減少している(別添資料図2参照)。8月の内訳をみると、乗用車が3,599台(前年同月比17.0%減)、商用車は1万7台(31.1%減)。輸出先では、依然としてブラジル向けが多く、全体の65.5%を占めている。ブラジル以外の輸出先としては、中米地域(9.4%)、コロンビア(6.1%)、ペルー(5.7%)、チリ(5.2%)と続く。

6月9日付け現地紙「Iプロフェショナル」などによれば、6月ごろには、自動車の輸入に必要な手続きが滞り、「約1万台の輸入車に対する輸入許可書の発給が遅延する」事態が続きている。8月には、ブラジル政府がアルゼンチン政府に対し、「アルゼンチンでの非自動輸入ライセンス承認に時間がかかり過ぎている」と申し立てを行った事が報じられている(2020年9月7日記事参照)。

そんな中、ADEFAは9月1日、連邦政府や労働組合関係者と協議を行った結果、「メーカー側は、年間生産台数は最低25万台を達するべく、年内には生産台数を2万台増やし、うち1万5,000台は輸出に向けると約束した」と説明するプレス発表を掲載した。また、「これらの見通しをベースに、国内市場が必要とする輸入車、年内において約9万6,000台を確保するための条件が整い、政府と合意した」とも述べている。9月2日付の自動車専門ブログ「アウトブログ」によると、政府側が設定した9万6,000台の輸入枠は、国内に工場を持つメーカーに限る、としている。このため、工場を有さない輸入業者やディストリビュータの会議所であるCIDOAは、「同じく輸入枠を得るため政府と協議中だ」と伝えたことが報じられている。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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