政府、企業支援の拡充と継続を発表

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年08月05日

アルゼンチン政府は7月24日、民間企業に対する経済支援策「雇用および生産のための緊急援助プログラム(ATP)」を拡充し継続することを正式に発表した。ATPは、新型コロナウイルス感染拡大により影響を受けた民間企業を支援するもので、国による補填(ほてん)的給与の給付支援など。国はこれまで、4月から6月分の給付を支援してきた(2020年7月3日記事参照)。今回の7月分の給付は4度目の支援となる。

政府はまた、回復傾向にある企業に対する融資制度についても、強制的隔離措置(2020年7月20日記事参照)が継続されているブエノスアイレス市およびブエノスアイレス州周辺35都市を指すブエノスアイレス首都圏(AMBA)だけでなく、措置を緩和し「ソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つ」ことを前提に一部企業活動が再開している地域に所在する企業も対象になると発表した。

支援策の概要は以下のとおり。詳細は、工業生産開発省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに掲載されている

(1)ATP支援内容

国家による7月分給与の補填的給与の給付。給付額は、従業員1人当たり最低賃金額の1.5倍〔2万5,312ペソ(約3万6,956円、1ペソ=約1.46円)〕。企業の国内における所在地は問わない。(※)危機的状況にある全国の観光業、娯楽、文化、スポーツ、保健分野においては、従業員1人当たりの給付額は、最低賃金額の2倍(3万3,750ペソ)で2020年12月まで継続する。

支援の条件は以下のとおり。

  • 2020年6月の売り上げが前年同月に比べ減少した場合。
  • 事業再開が許可されていない分野。
  • 携わっている経済活動が深刻な状況にある。または、従業員の多くが新型コロナウイルスに感染している、強制隔離状況にある、感染のリスクが高い、家族の介護を行う必要がある、などの場合。
  • 従業員給与が総支給額14万ペソを超える場合は対象外。

(2)回復傾向にある企業への融資制度

従業員の給与給付が目的の融資で、返済は3カ月の猶予で12回の分割返済が可能。申請できる融資は、企業の売り上げが2019年6月と比較し回復した率により金利が異なる。

  • 回復率が0~10%の場合:無利子
  • 回復率が11~20%の場合:金利7.5%
  • 回復率が21~30%以上の場合:金利15%

なお、これら支援を受けた企業は、利益・配当送金、証券取引などは認められない。

写真 3月20日から営業が許可されず支援を必要とするブエノスアイレス市内のショッピングセンターや経営に苦しむ店舗が立ち並ぶ街並み(ジェトロ撮影)

3月20日から営業が許可されず支援を必要とするブエノスアイレス市内のショッピングセンターや経営に苦しむ店舗が立ち並ぶ街並み(ジェトロ撮影)

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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