イタリア、低排出ガス車購入に対する補助額を上乗せ

(イタリア)

ミラノ発

2020年08月04日

イタリア経済開発省は7月31日、低排出ガス車の購入に当たっての補助金制度「エコボーナス」の拡充について発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。政府は新型コロナウイルスに対応する経済対策として、5月に「再出発令」(Decreto Rilancio)を発しているが(2020年5月26日記事参照)、同法令に一部改正を加えたものを、7月18日付の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに掲載。本補助金はその改正の中に織り込まれたものだ。

同補助金は、2020年8月1日から同年12月31日までに、M1(注1)のカテゴリーに属し、以下の条件を満たす車両を購入する際に適用される。

  • 走行1キロメートル当たりの二酸化炭素(CO2)排出量が0~60グラムで、5万ユーロ未満の車両
  • 走行1キロメートル当たりのCO2排出量が61~110グラムで、ユーロ6基準(注2)を満たす4万ユーロ未満の車両

「エコボーナス」制度自体は既に2019年から運用されているが、今回新たに定められた補助金は、既存の補助額に上乗せするかたちで適用することができる。また、既存の制度では上記1点目の車種の購入のみが対象となっていたが、今回新たな条件(1キロメートル当たりのCO2排出量が61~110グラム、ユーロ6、4万ユーロ未満)が加えられることとなった。実際の補助額は、既に所持している車を廃車とするか否か、あるいは購入する車種のCO2排出量などにより変動する。補助額の詳細は添付資料参照。

なお、エコボーナス制度の対象は四輪車に限らず、バイクやスクーターの購入にも適用できる。電気あるいはハイブリットの新車(注3)を購入する際、廃車なしの場合は購入金額の30%(上限額:3,000ユーロ)、廃車ありの場合は購入金額の40%(上限額:4,000ユーロ)の補助が受けられる。既存の制度では、廃車をすることが前提となっていたが、廃車の有無に関わらず適用が可能となった。

外国自動車代理店組合(UNRAE)のミケーレ・クリッシ会長は今回の改正を受け、「これらのインセンティブは業界の回復を可能にし、また、(イタリアは)欧州の中で最も旧式車が流通している国の1つだが、ユーロ6が(規定に)含められたことにより、その置換を進めることができる」とし、歓迎する姿勢を表している。

(注1)人の輸送を目的とし、少なくとも4つの車輪があり、座席は最大8席の車両。

(注2)欧州の自動車排出ガス規制「ユーロ6」は2014年から導入されており、走行1キロメートル当たりのガソリン車の窒素酸化物(上限60ミリグラム)、ディーゼル車の窒素酸化物(上限80ミリグラム)と粒子状物質(上限5ミリグラム)の排出基準を定めている。

(注3)具体的には、EUの二輪車などの型式認証のLカテゴリー(L1e、L2e、L3e、L4e、L5e、L6e、L7e)に属する車両が対象。

(山崎杏奈)

(イタリア)

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