日越デジタル分野の協業目指す、ジェトロがウェブセミナー開催

(ベトナム)

ハノイ発

2020年08月04日

ジェトロとベトナム情報通信省は7月28日、ウェブセミナー「コロナ禍における日越オープンイノベーション促進」を開催し、日本企業関係者など約200人が参加した。本セミナーは、日本とASEANなどの企業によるデジタル技術を活用した連携を推進するジェトロ「デジタル・トランスフォーメーション(DX)・プラットフォーム」の一環として開催され、情報通信省によるベトナムにおけるデジタル戦略の紹介や日本との連携・協業を期待するベトナムスタートアップ企業のプレゼンテーションが行われた。

2030年までに、10万社のデジタル企業の育成を目指す

情報通信省国際協力局のホアン・アイン・トゥ副局長は、ベトナムにおけるデジタル戦略について、「6月に承認された国家DXプログラム(注1)に基づき、9月にデジタル企業の育成に関する戦略を発表する予定だ。その戦略において、2030年までに10万社のデジタル企業および150万人のデジタル人材を育成することを目標としている」と説明した(注2)。情報通信省国際IT局のブイ・タイン・トゥン氏は、「戦略目標達成のために、デジタル企業や製品に対する法的な枠組みの整備やデジタル分野を取り巻くエコシステムの構築などを行っていきたい」と述べた。

ベトナムのスタートアップ企業からは、メドテック(医療)分野のメディチ(MEDICI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと、人工知能(AI)による画像・動画解析を手掛けるベダックス(VEDAX)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますがプレゼンテーションを行った。メディチは、病院、クリニックなどと企業をつなぐプラットフォームを構築し、企業の従業員(個人)に対しオンライン医療サービスを提供。他社と差別化したビジネスモデルや全国9地域、30の医療機関とのネットワークを紹介した。同社CEOのドゥック・アイン・ゴー氏は、「新型コロナウイルスの影響を受け、市民が非接触型のサービスを求めるようになった今、医療分野におけるデジタル化が加速している」と語った。

ベダックスは、ホーチミン市交通局に採用されているAIを活用した交通測定システムなど、強みである高度なAI技術力やこれまでの日本企業との連携実績を訴えた。同社COOのカオ・ミン・ビエット氏は、他分野への応用事例として、「現在、製造ラインにおいて不良品の判別を可能とするAIの開発プロジェクトを進めている」と話した。今後、これら企業と連携・協業を希望する日本企業とのマッチングが行われる予定。

(注1)ベトナム政府は、6月3日付の首相決定749号(749/QĐ-TTg)において、「2025年までの国家DXプログラムおよび2030年までの方針」を承認しており、戦略の策定や各種政策を進めることとしている。

(注2)デジタル企業と定義は異なるが、同省の調査レポートによると、2018年のICT企業は3万8,861社となっている。

(上田弘大)

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