低排出ガス車購入時の7月の補助申請件数、制度開始以来最大に

(ドイツ)

ミュンヘン発

2020年08月13日

ドイツ経済・エネルギー省は8月3日、電気自動車(EV)など低排出ガス車購入時の補助申請件数が2020年7月に1万9,993件を記録、制度導入以来、単月で過去最高になったと発表した。2020年1~7月の申請件数は6万9,606件となり、前年同期比で78.6%増加した。

本制度は「環境ボーナス(Umweltbonus)」制度と呼ばれ(注)、EVなどへの買い替え促進のため、連邦政府が2016年7月に導入したもの。政府と自動車メーカーが補助額を折半で負担する。新型コロナウイルス危機を受けた景気対策として、連立政権を組むキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)が2020年6月3日、政府分の補助額を2021年末までの限定で倍増する支援策「イノベーション・プレミアム」の実施で合意、7月8日から施行されている(2020年7月15日記事参照)。

経済・輸出管理庁(BAFA)の発表によると、制度導入から2020年7月までに、合計で23万4,805件の申請があった。内訳はEVが14万8,889件(シェア:63.4%)、プラグインハイブリッド車が8万5,782件(36.5%)、燃料電池車が134件(0.1%)。

州別に申請件数をみると、ノルトライン・ウェストファーレン州(6万2,061件)を筆頭に、バイエルン州(4万3,647件)、バーデン・ビュルテンベルク州(3万7,605件)と続く。メーカー別では、BMWが最大の3万2,690件で、フォルクスワーゲン(VW)(2万9,248件)、ルノー(2万9,217件)と続く。日本メーカーでは、三菱自動車が1万5,032件で6位に位置している。

ペーター・アルトマイヤー経済・エネルギー相は「イノベーション・プレミアムがドイツにおけるEモビリティを推し進める」とした上で、「補助金の引き上げは適切なタイミングで景気を刺激するものだ」とコメントした。

ドイツ連邦自動車局(KBA)によると、2020年7月の国内の乗用車新車登録台数は31万4,938台で、うちプラグインハイブリッド車は6.1%、EVは5.3%。一方、2020年1~7月の乗用車新車登録台数152万5,560台のうち、プラグインハイブリッド車は4.5%、EVは4.0%となっている。

(注)本制度は「環境ボーナス(Umweltbonus)」と呼ばれているが、特に、2021年末までの限定で連邦政府分の補助額を倍増する支援策は「イノベーション・プレミアム(Innovationsprämie)」と呼ばれている。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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