「コロナ禍」で自動車部品メーカーの海外移転と人員削減が加速

(ドイツ)

ミュンヘン発

2020年08月31日

ドイツ自動車産業連合会(VDA)は8月25日、2020年7月中旬・下旬に実施した国内自動車部品メーカーの現状と見通しに関するアンケート調査の結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(注)。回答企業の約半数は、ビジネスは2022年まで、約1割は2023年まで、新型コロナウイルスの影響を受ける前の水準に戻らないと回答した。新型コロナウイルスの影響を受けて、国内自動車部品メーカーは人員削減、生産の海外移転を進める見込みだ。

アンケートはまず、国内自動車部品メーカーの現状について聞いた。国内工場などの稼働率について、64.0%(55社)が50~74%、30.2%(26社)が75%以上と回答した。一方で、短時間労働給付金制度を適用している従業員の割合について、32.6%の企業が25~49%、31.4%が1~24%と回答した。なお、ifo経済研究所が8月6日に発表した推計によると、2020年7月の自動車部品を含む自動車製造分野の短時間労働者は42万2,745人と同分野の従業員の38%を占める。

一方で、多くの国内自動車部品メーカーの資金繰りは比較的安定している。アンケート結果によると、回答企業の8割以上が当面、十分な資金源があり、メインバンクからも適切な支援を受けているとした。他方、2割近くの企業は、現状のままでは、資金繰りが最大2~3カ月しか確保できないとしている。連邦政府の資金繰り支援策について、回答企業の約2割が「経済安定化基金(WSF)」(2020年7月15日記事参照)、約1割が「中小企業向けつなぎ融資」(2020年7月15日記事参照)を受けた、または申請予定と回答した。

新型コロナウイルスの影響を受けて、国内で人員削減を予定している企業は、回答企業の59.5%に達した。人員削減を予定する企業のうち、52.0%が全従業員の5~10%の削減を予定しているという。全従業員の11~15%を削減するとした企業も16.0%に上った。また、生産について、新型コロナウイルス前から生産を海外に移管することを計画していた企業は42.9%を占め、そのうち、新型コロナウイルスの影響を受けその計画が「加速した」とする企業は69.4%に上った。

VDAのヒルデガルド・ミュラー会長は今回のアンケート結果について、「政府、企業、労働組合が一丸となり、新型コロナウイルスの影響を受けた生産の海外移転と人員削減を阻止すべく、あらゆる取り組みをしなくてはならない」とコメントしている。

(注)本アンケート調査には、VDA会員である国内自動車部品メーカー約500社のうち、86社が回答した。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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