「新型コロナ禍」でのスタートアップの生存戦略

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年08月04日

インドネシア現地紙の「カタダタ」は7月16日、インドネシアのスタートアップへのヒアリングを実施し、「新型コロナ禍におけるデジタルスタートアップの生存戦略外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」として取りまとめ、公表した。ヒアリングは2020年5月から6月にかけて、139社に対し実施され、「コロナ禍」における業界ごとの景況感の変化やビジネスモデルなどにつき、同紙が分析を行った。

景況感につき、2019年末時点では74.8%の企業が「大変良い」もしくは「良い」とし、3.6%のみが「悪い」もしくは「とても悪い」と回答していた。新型コロナウイルスの影響を踏まえた今回の同様のヒアリングでは、前者の割合は33%、後者は42.5%と、景況感は著しく悪化した。56.8%の企業が、ジャカルタ特別州などが導入している「大規模社会制限」(PSBB)(2020年7月3日記事参照)が景況感にネガティブな影響を与えていると指摘する。業界毎の分析では、決済、物流、農業関連の企業は比較的、PSBBの影響が小さい一方、観光関連企業は影響を大きく受けている結果になった。ある観光業関連企業は、「PSBBにより観光需要が激減し、売上が85%減少した」とする。

新型コロナウイルスの影響でビジネスモデルを変更する企業も存在する。「野菜への需要の高まりを受け、オンラインのバイクタクシー運転手と協力関係を構築し、集荷や配達面を強化している」(農業関連)、「医療従事者向けに、個人用防護具(PPE)などを、必要な時に出し入れできるオンデマンド倉庫サービスを開始した」(物流関連)などの回答があった。人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)を活用し、ジャカルタ特別州などとスマートシティの開発などに取り組むqlue(クルー)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、IoTを活用した顔認証機能付き体温センサーを開発し、ショッピングモールの入口などで利用されている(2020年6月3日記事参照)。また、ユニコーン企業(企業評価額10億ドル以上の非公開企業)でオンライン旅行予約を行うTraveloka(トラベロカ)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、Prodia(プロディア)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなど医療サービスを提供する企業と連携し、インドネシアの44の地域でPCR検査や迅速検査(Rapid Test)を提供している(「カタダタ」紙6月19日)。

(シファ・ファウジア、上野渉)

(インドネシア)

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