ジャカルタ、経済活動再開に向けた移行期間フェーズ1を14日間延長

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年07月03日

ジャカルタ特別州のアニス・バスウェダン知事は7月1日、同州内の新型コロナウイルス感染症の状況に関する専門家を交えた評価結果を踏まえ、大規模経済活動制限(PSBB)の移行期間を14日間延長すると発表した。同州のツイッタ―によると、延長期間は7月3日~7月16日とのことだ。同州は6月5日より、PSBBの移行期間フェーズ1として、従業員数や収容人数の50%を上限として、事業所、レストラン、小売店などの操業を認めていた。アニス知事によると、延長期間中は、引き続き従業員数や収容人数の50%が活動の上限となる。

アニス知事は、記者会見で、過去14日間の州内の感染状況について、疫学上、公衆衛生上、医療施設上の3つの観点から専門家を交えて評価した結果、それぞれ75点、54点、83点だったとした。これらの総合評価は71点となり、さらなる規制緩和の基準である70点を上回った。しかし、同知事は感染拡大が州内のほとんどの地域で比較的安定しているが、感染が広がっている地域もあることから、14日間の延長を決定したと述べた。点数の低かった公衆衛生について、ジャカルタ特別州のデータを見ると、感染者の追跡の項目で評価が低いことに加え、マスク着用、手洗いの慣行、1メートル以上の距離の確保についても十分な評価が得られていない。アニス知事は会見で、「マスク着用、手洗いの慣行、距離の確保」について強調し、市民に一層の取組みを促した。

なお、感染追跡に関して同知事は、地域の保健所(プスケスマス)などを通じてPCR検査の実施を積極的に促しており、計算上は全市民の7.6%がすでにPCR検査を受診したと取り組みを強調した。一方で懸念点として、複数の伝統市場での集団感染が確認されていること、KRL鉄道(インドネシアのジャカルタ首都圏の通勤電車網)における通勤時の混雑を挙げ、今後、こうした場所に警察などを派遣して混雑状況のモニタリングを強化するとした。さらに伝統市場については、これまで人数制限を行わず開業日時を制限していたが、今後は開業日時の制限の代わりに入場者数を収容人数の50%以下に制限するとしている。

地方自治体によって異なる経済活動制限の緩和状況

インドネシア政府はPSBBの緩和について、地方自治体首長の権限を認めているため緩和状況は地域によって異なる。西ジャワ州については6月26日、州全体のPSBBを終了し、経済活動制限を撤廃した。ただし、首都近接地域であるボゴール、デポック、ブカシについてはジャカルタ特別州の方針と合わせる意向だ。もう1つの首都近接地域であるタンゲランについては、7月12日までのPSBB延長が決定済みだ。なお、東ジャワ州スラバヤ地域も6月8日でPSBBを撤廃し、市・県ごとに移行する基準を発表している。

保健省のデータによると6月30日時点のこれらの州の累積感染者数は、ジャカルタ特別州1万1,424人(前日比190人増)、西ジャワ州3,218人(81人増)、バンテン州1,453人(9人増)、東ジャワ州1万2,136人(331人増)、インドネシア全体で5万6,385人(1,293人増)となっている。

(山城武伸)

(インドネシア)

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