在南ア日系企業に新型コロナ影響調査、外出規制緩和後も98%が在宅勤務を継続

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2020年08月04日

南アフリカ共和国における新型コロナウイルス感染者数は、8月2日時点で累計51万1,485人(保健省)と、アフリカ全土の半数を超え、連日1万人を超える新規感染者を出す厳しい状況となっている。ジェトロと在南ア日本商工会議所(CCIJ)は、CCIJ会員企業向けに新型コロナウイルスの影響に関する緊急調査(調査期間:7月3~22日、回答企業数:52社)(2020年7月30日記事参照)を実施した。感染が急速に拡大する中、社員の感染防止策に苦心する日本企業の姿が見えてきた。

南アは3月5日に国内初の感染者が発生した後、3月26日から厳しい外出規制(ロックダウン)を長期にわたり実施してきたことから、南アで活動する日系企業は、この規制に対応するかたちで、多くが在宅勤務の実施を強いられてきた。その後、6月以降、南ア政府は警戒レベルを引き下げ、ビジネスの制限緩和が行われたが、外出規制緩和後も、回答企業数52社のうち98%は在宅勤務を実施しており、96%がビデオ会議を導入するなどテレワークによりビジネスを継続していることが分かった。出勤時の感染リスクを避けるべく、46%の企業が時差出勤、50%が公共交通機関を利用せず自動車での通勤を奨励するなどといった従業員向けの予防策を取っており、感染者が発生した場合の被害を軽減すべく、2チーム制をとるなどといった対応も多くの企業で行われている。

テレワークを「『アフターコロナ』の新常態として今後の平時も継続を検討したい」とする声もあるものの、「新型コロナウイルスの感染が終息した以降も在宅勤務を実施する上で適切な労務管理の仕組みが必要」「ネットワーク環境が乏しくインターネットのつながり状態が不安定」「生産性の低い人と高い人が明確になっている」「情報量が低下」「短期的にアウトプットが出ない業務について業務状況の把握が困難」など在宅勤務の課題も明らかとなった。

さらに社内外会議・イベント参加については、回答企業の6割以上が会議の人数や会議時間の制限、来訪者面談の差し控え対応の実施、社外での大人数での会議・イベントの出席差し控え、会食差し控えなどを実施(予定を含む)していると回答があった。「積極的なオンライン交流を実施」「全ての面談はオンラインで実施、原則、イベントなどへの出席はオンラインのみ許可」など、従来の対面でのコミュニケーションに代替してオンラインツールを積極活用しているとの声がある。

ビジネスを行っていく上での懸念点については、「顧客との面談自粛などコミュニケーションの質の悪化と案件の進捗遅延」「感染者の増加に伴う製造・供給先の稼働低下や稼働停止の発生」「駐在員の海外退避期間の長期化による会社の統制不足の懸念や労使交渉への影響」などが主に挙げられた。一時退避した日本人駐在員の南アへの再渡航がいつ可能となるかなど、先行きが不透明な状況の中、現地人材の活用がビジネス継続のカギとなりそうだ。

(蓑和希典、築舘弘和)

(南アフリカ共和国)

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