緩和された入国措置適用の注意点が明らかに

(カンボジア)

プノンペン発

2020年08月27日

経済財政省のパン・ポラ長官は8月12日、カンボジア日本人商工会議所(JBAC)および諸外国の経済団体に対して、外国人の入国規制緩和(2020年8月7日記事参照)の対象企業に必要とされるカンボジア政府発行の支払い保証証明書の申請状況と、申請する際の注意点を説明した。 8月10日時点で、申請件数547件に対して許可されたのは77件(うちQIP企業が13件、注1)のみで、362件が上記の入力ミスなどで許可されておらず、108件が許可待ちになっているという。

前提として、入国前にカンボジア政府のビジネス登録ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上の申請フォームに記入する必要があるが、記入内容の確認機関はQIP企業であるかどうかによって異なる。QIP企業の場合、カンボジア開発協議会(CDC)が申請内容を確認する。経済財務省によると、特に、登記された会社名、住所、代表者名の入力ミスが多いという。QIP企業でない場合は、租税総局(GDT)も申請内容を確認する。この場合にも、企業名などを登録する必要があるが、これらの情報以外に、GDTは従業員の給与税の支払い実績、納税実績などの税務登録情報に関して確認をしているため、入力情報の確認がさらに厳重になる。

画像 最初にQIP企業かどうかを尋ねる画面が出てくる(カンボジア政府のビジネス登録サイトより)

最初にQIP企業かどうかを尋ねる画面が出てくる(カンボジア政府のビジネス登録サイトより)

また、パン長官は、カンボジア登記法人が入国する外国人(渡航者)の保証人になるか否かにより待遇が異なる点について、下記3つのケースに分けてポイントを説明した(入国時必要な書類に関しては2020年8月7日記事在カンボジア大使館ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照)。

(1)カンボジア登記法人が保証人となる場合

関係当局に許可された渡航者は、90ドルの保険(注2)への加入、入国時の2,000ドルのデポジット支払いがいずれも免除され、入国審査の際、特別レーンで入国できる。

(2)カンボジア登記法人が招聘人となる場合

招聘(しょうへい)人の登録についても上記(1)と同じウェブサイトから事前申請が可能だが、保証人としてではなく、招聘人としての申請をする点に注意が必要だ。この場合、支払い者(Payment by)の項目で渡航者(Traveler)を選択し、企業ではなく渡航者自らが新型コロナウイルス対策の防疫措置にかかる費用を支払うことを申告する必要がある。渡航者は、90ドルの保険に加入するとともに、入国時に2,000ドルのデポジットを払う必要があるが、入国審査の際、特別レーンで入国できる。

画像 渡航者自らが支払うことを申告する画面(カンボジア政府のビジネス登録サイトよりジェトロ作成)

渡航者自らが支払うことを申告する画面(カンボジア政府のビジネス登録サイトよりジェトロ作成)

(3)事前登録せずに入国する場合

渡航者は90ドルの保険に加入し、入国時に2,000ドルのデポジットを支払い、通常のレーンで入国する。この場合、入国に1時間から2時間、並ぶこともあるので注意が必要だ。

(注1)QIPとは、適格投資プロジェクト(Qualified Investment Project)の略称。カンボジアの投資優遇制度で、投資許可は投資家または投資企業に対して発給されるのではなく、投資プロジェクトに対して発給される。投資許可を得たプロジェクトは適格投資プロジェクトと呼ばれ、優遇措置が自動的に付与される。

(注2)現地の保険会社FORTE Insurance Company外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから90ドルで購入する、新型コロナウイルス治療費をカバーする保険。20日間有効。

(井上良太)

(カンボジア)

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