米加州の森林火災は歴史的規模に、都市部で大気汚染被害も

(米国)

サンフランシスコ発

2020年08月27日

米国カリフォルニア州で、複数の森林火災が広範囲にわたり猛威を振るっている。8月24日時点で、州全土で合計120万エーカー(約48万ヘクタール)以上を燃やす625の火災が確認されている。これらの火災は、同州で歴史的猛暑日が続く中(2020年8月24日記事参照)、16日早朝から発生した多数の落雷が主な発火原因とされている。ギャビン・ニューサム州知事は18日、州全土に広がる火災と極端な気象状況による非常事態宣言を発している。

火災現場から離れた都市部では、火災による直接的な被害はないものの、煙による大気汚染が著しい。8月25日午前中の時点で、ベイエリアのほとんどの地域で大気汚染のレベルが「呼吸器障害などがない人も屋外での長時間にわたる活動を制限、あるいは避けるべきレベル」と測定された。大規模な火災の制圧率もまだ低いため、煙による被害がいつ収まるか、専門家もまだ予測を立てていない。ベイエリアの病院では、呼吸障害を訴える患者が増加しているとの報道も出ている。

今回の火災で圧倒的に規模が大きいのが、サンフランシスコ・ベイエリアの9郡中(注1)6郡を巻き込んでいる、落雷による複合火災LNUとSCU(以下LNU、SCU、注2)の2つだ。SCUとLNUは8月25日時点で、それぞれ35万エーカー以上に広がり、同州史上2番目、3番目に規模の大きい火災となった。同日時点で、SCUでは死者は出ていない(けが人:5人、建物の破壊:18棟)ものの制圧率は15%、LNUでは5人が死亡(けが人:4人、建物の破壊:937棟)、制圧率は27%と完全制圧への道のりは遠い。

現地報道によれば、一連の森林火災により州全体で少なくとも10万人が避難している。新型コロナウイルス感染拡大がいまだ収束しない同州では、避難所へ入る前に検温やスクリーニングを行い、避難所が集合形式の場合はマスク着用、ソーシャルディスタンスを取ることを必須とし、空気清浄機なども設置して、新たな感染を防ぐ対策をしている。

(注1)サンフランシスコ湾を囲む9郡:サンフランシスコ、サンマテオ、サンタクララ、アラメダ、コントラコスタ、ソラノ、ナパ、ソノマ、マリン

(注2)LNUは、8月17日に発生。ソノマ郡、レイク郡、ナパ郡、ヨロ郡、ソラノ郡(サンフランシスコから見て北東方面)に広がる。SCUは、8月18日に発生。スタニスラウス郡、サンタクララ郡、アラメダ郡、コントラコスタ郡、サンホアキン郡(サンフランシスコから見て南東方面)に広がる。

(田中三保子)

(米国)

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