新首相に元防衛相のマルトス氏、新内閣は大半の閣僚が留任

(ペルー)

リマ発

2020年08月13日

マルティン・ビスカラ大統領は8月6日、前防衛相のウォルテル・ロジェル・マルトス・ルイス氏を新首相に任命した。また、同日中に首相以外の18人の閣僚のうち14人の留任、ならびに新任の4人について、新たに任命式と宣誓式を行った。新任閣僚は、以下のとおり。

  1. エネルギー鉱山相:ルイス・ミゲル・インチャウステギ・セバージョス(元同省副大臣)
  2. 労働雇用促進相:ハビエル・エドゥアルド・パラシオス・ガジェーゴス(元同省副大臣)
  3. 防衛相:ホルヘ・ルイス・チャベス・クレスタ(元国家防災庁長官)
  4. 女性・社会的弱者相:アントニーナ・ロサリオ・サシエタ・モラーレス(元国会議員)

今回の内閣改造で注目されたのは、8月4日の議会による内閣信任決議案の否決(2020年8月6日記事参照)の主な要因とされているカルロス・ベナビデス教育相とマリア・アルバ経済財政相の処遇だったが、いずれも留任した。教育相については、2014年から国内大学の質の向上を目的として制定され、大学の設置認可についても規定されている「新大学法」により国内の大学制度改善の達成が目前となる中、ベナビデス教育相の続投は不可欠だと判断された。ベナビデス教育相は大学の設置認可の決定を下す全国大学教育監督庁(SUNEDU)の元長官でもある。

一方で、今回反対票を投じた政党のうち、アリアンサ・パラ・エル・プログレッソ(進化のための同盟:APP)党やポデモス・ペルー(できるぞペルー:PP)党は党首や所属議員の関係する大学が開校ライセンスの取得や更新ができなかったことから、いずれも自己の利害が投票に影響したとの憶測を呼んでいる。

また、ベナビデス教育相は、SUNEDU長官時代の大学設置認可について議会からの諮問要請が出されているが、いまだ実現していない。カテリアーノ前首相は、信任決議案提出前の7月29日にマヌエル・メリーノ・デ・ラマ議長から幾つかの政党がベナビデス教育相の内閣留任について不満を抱いており、信任決議案の承認は難しいとの発言があったと証言。メリーノ・デ・ラマ議長は8月6日の記者会見で、この証言について教育相のみならず、アルバ経済財政相、マルティン・ルヒエロ前労働雇用促進相の留任についても疑問視する声があると忠告したことを認め、その上で教育相および経済財政相を留任させたビスカラ大統領を強く非難した。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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